認知的不協和について

心理学に「認知的不協和理論」がある。それは、「人が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。人はこれを解消するために、矛盾する認知の定義を変更したり、過小評価したり、自身の態度や行動を変更すると考えられている」(ウィキペディア)。

この理論を持ち出すまでもなく、私たちは認知の矛盾を解消することを、無意識的にやっている。たとえば、私は、A(村上春樹)という作家が好きだとする。私は、Bという人に友情を感じているとする。ところが最近、BがAのことを悪く書いているのを知った。私→+A,私→+B、B→―A(+は好き、-は嫌い)という関係にあり、私からみて、私とAとBの3者の関係は、矛盾(不協和)になる。(その関係の符号の積がマイナスになると不協和)

そこで、私がこの矛盾(不協和)を解消すべき取る方法は,① Aを嫌いになる。② Bへの友情を解消する(薄める)のどちらかである。普通 ②の方法をとることになると思うが、少し残念なのは、BがAのことを悪く言うのに接した(B→―A)ということである。そのようなことがなければ、あるいはあっても知らなければ、Bへの友情は薄れることはない。つまり、そのようなことは知らない方がいい。さらに言えば、そのような事態を起こさないようにした方がいい。自分の好きなことは、自分だけに取っておき、親しいし人にそれを押し付けたり、その感想を聞いたりしないない方がいい。夫婦や親友といえども、自分の好きなこと(たとえば小説や映画やドラマ)は勧めない方がいい。そんなことをすると、認知的不協和が生じ、関係が壊れる危険性がある。でも、自分と感覚や価値観の近い人と結婚したり親友になったりするので、それとの矛盾・認知的不協和をどうすればいいのだろうか。人生は矛盾が多い