夏祭り

今地域の人が集まれる行事といえば運動会とお祭りくらいかもしれない。地域から子どもがいなくなり運動会も盛り上がりを欠き、残るはお祭りだけが唯一老若男女で集まれる機会になっている。
夏祭りは、御神輿や山車が出て地域を練り歩き、夜には盆踊りがあり、その太鼓の音を聴き踊りを見ながら、たくさん出ている屋台に並び皆で楽しむということをする。

うちの地区(稲毛京成団地)に夏祭りがあったので覗いてみると、いつも卓球で一緒の人が役員席でお酒を飲み「一緒に飲まないか」と誘ってくれた。、近所の知り合いが店を出し、小中の同窓生が集まり、女の子たちが浴衣で着飾り、それを男の子たちが横目で見て、親たちが日頃挨拶だけの人とも会話する中で、小さな子ども達も普段と違うハレの雰囲気を感じ、周囲をうれしそうに駆け回っていた。盆踊りを踊っているのは老人ばかりだが、皆それぞれ、楽しみ、平和な風景であった。

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第36回 学校社会学研究会 開催予定

毎年夏に開催されている学校社会学研究会が今年は36回を迎え、野崎さんと井口さんの世話役のように下記のように開催される。
はじめて参加の方もメンバーの紹介があれば参加可能である。私にご連絡いただければ、参加申し込みをしておく。
 武内メールアドレス fwne3137@mb.infoweb.ne.jp

第36回学校社会学研究会プログラム
日時:8月24日(金)13:00〜8月25日(土)
場所:学習院大学 南2号館4階第1会議室(学内地図参照)
JR山手線「目白」駅改札から徒歩2分
会費:500円 
懇親会参加費: 4000 円

24日(金) 12:30〜 受付
24日 発表者及び発表タイトル
#0 13:00〜13:05  開会挨拶
#1 13:05〜13:40 王佳璇(筑波大研究生)
「中国学歴社会において理系に進学する社会構造と学校格差」
#2 13:40〜14:15 張昕華(筑波大研究生)
「中国学歴社会における実技教科教員の労働と地位の象徴的排除)
#3 14:15〜14:50 笹沼塩美
「日本の大学生の海外留学:留学先と再適応」
#4 15:05〜15:40 丁名揚(筑波大院生)
「学歴社会の中国にみる「素質教育」の課題」
#5 15:40〜16:30 児玉英明
「商業高校科目『経済活動と法』に関するケース教材の開発:SPH採択高校との高大連携」
#6 16:30〜17:20 武内清・浜島幸司・黄順姫
「高校教師の今:中央教育研究所・2017年全国調査から」
#7 17:20〜18:10 鷲北貴史・山本修裕
「大喜利メソッドによるBF大学の教育実践と、校歌絶唱のその後:湘南工科大学「文化をはぐくむ」の教室から」
懇親会 目白:「熱烈上海食堂」

25日(土)8:30〜 受付 8:40〜9:00 Coffee Hour
#8 9:00〜9:35 横沢佳奈(筑波大院生)
「部活動の実態と課題」
#9 9:35〜10:10 刘荟(中央大院生)
「中国内陸部貧困地域における親の教育戦略」
#10 10:10〜11:00 白石義郎
「部活動の物語構造」
#11 11:00〜11:50 山本雄二 x 廣井まりこ 
「校内暴力と中和の技法 その2」
総会 11:50〜12:10
昼食(希望者:目白トラッドビル内のレストラン「あえん」を予定)

問い合わせ先  井口 hi2@buffalo.edu

フジロック

今年も授業と重なり,苗場で7月27日〜29日に開かれているフジロックを聴きに行くことができなかったのは残念。
だが、今年はyou tubeでliveを見ることができて、嬉しい。https://www.youtube.com/watch?v=nmcLElYe71M

フジロックを聴きに行くのには、雨の苗場でのテントと、ロック魂と山登りくらいの装備が必要であると言われているが、you tubeの映像をみると大変な人出で、日本人のロック好き(ロック魂)が減っていないことを感じる。(もっとも、ロックの内容が時代と共に変化しているのであろうが)

カズオ イシグロ『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)』を読む

村上春樹の短編はユーモアや心の温まるものがあり、とても好きで多くを読んできたが、カズオ・イシグロの短編ははじめて読み、独特の味わいのあること知った。
その味わいやよさは、自分のことばでうまく表せないので、共感した他の人の感想を掲載させていただく。

「読書メータ―」https://bookmeter.com/books/2305583より、転載。

<あらまぁ、ノーベル賞作家ということで、チョット構えたんだけど、全然そんなことなくって、読みやすかったわぁ。音楽を背景に悲喜劇が魅力的な作品集よねぇ。>
<読みやすくて、コミカルな場面の多いことに驚いた。人生の黄昏にたたずむ不可解な一幕。諦念と笑いをもって味わえるだろうか、こんな風に。>
<書名に夜想曲とある通り、ピアノによるノクターンを聴いた後のような余韻を残した短編集だな。昔好きだった音楽を聴いていて、その拍子に過去を振り返って、そういえばこんなことあったな、と脳裏に蘇った思い出のような、ちょっとビターでクスッと笑えて、どことなく懐かしい気分になったような。夕暮れを感じさせる文体がやっぱりカズオ・イシグロ氏らしいけれど、長編小説とはひと味違った雰囲気が個人的に大好きになった。>
<音楽をテーマとした短編集。それぞれに曲や楽器をカギとして、男女の複雑な感情の扉を覗いているような作品が多い。音楽がテーマとなっているが、どの短編も男と女の気持ちが交錯する。様々な男女の物語が、クラシック音楽のようにゆったりとしていながら、奥底では壮大に進んでいるような構成になっている。そして曲の余韻をしばらく楽しむかのように、どの物語も音がフェイドアウトしていくような終わり方になっている。長編も好きだけど、短編も良かったので、他にも書いて欲しいと思った。イシグロ作品の中では一番読みやすい>
<音楽がテーマの5篇の短編。イシグロの短編は意外性があったけれどなかなかでした。軽妙洒脱の様で、余韻がたっぷり、読み返したくなる。短い時間を切り取っていてストーリーらしきものはないが重ねてきた人生の紆余曲折を読者に感じさせる。移ろうもの、哀愁、可笑しみ、エゴ、無様さ、そしてそういうものへの慈しみ。大人のオムニバス映画を観ているよう。中島京子さんの解説も嬉しい。才能って本当になんなのだろうって考えながら読むとまた違った読み方ができそう。>
<解説がとってもとっても良かった。才能は天賦の資質か、努力の賜物か。自分に向き合わざるを得ないけど むりやり生み出そうとしなくとも、日々何かに触れたときの感覚や自分の気持ちを大事にしよう。誰かが自分の輝きに気づいてくれる、これは愚かな自惚れじゃなくて、生きる希望になるんじゃないかな。私の周りもどんなキラキラに囲まれてるだろう。優しくなれそう。我々はなんて運が良いんだ!>

絲山秋子「薄情」を読む      水沼文平

「薄情」は「沖で待つ」で芥川賞を受賞した絲山秋子の小説です。
よく人は「あいつは薄情者もんだ」と言ったりしますが、他者に対して情が薄いのは誰でものこと、みんな自分のことで精いっぱい、他人のことはかまっていられないのです。
この小説は異常な降雪と主人公が格闘する暗示的なシーンから始まります。彼は30才位で神主の予備軍、何もやる気のない無気力人間です。それでも稼ぐ必要があるので嬬恋でキャベツの収穫の季節労働をしています。そして出会い系サイトを見ては女を漁ったりもしています。
主人公の家がある地域(群馬県のどこかの街)に東京の芸術家が市の援助で材木工場を改造して住んでいます。周りの人は珍しがってその工房に集まってきます。主人公もその一人です。常連の東京で育った女性が自分の街の変貌を盛んに嘆いたりしています。
作者は、都会と田舎、男と女、自然と人などの対比と変化を巧みに織り交ぜていきます。
名古屋から主人公の高校後輩(女性)が帰ってきます。彼女の父親はその芸術家の取り巻きのひとりです。そのうち彼女はその芸術家とできてしまい噂が広がります。そうこうしているうちに、その工房が芸術家の不始末で火事を起こします。芸術家と周りの人たちの人間関係はいとも簡単に壊れてしまいます。薄情なものですね。主人公も確かな手ごたえがあった女に打算的な理由で簡単に捨てられてしまいます。
主人公は雨の日に、東京から福島県の白河に帰るヒッチハイクの生真面目な高校生に出会います。そして白河まで送っていくことになります。少年に車に乗せた理由を聞かれ「出羽三山に行く途中だから」と嘘をつきます。
この無償の行為が主人公の心に大きな変化をもたらします。少年を送り届けた彼は東北道を北上し、神が宿る出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)に向かいます。

絲山秋子は群馬県の高崎在住です。小説の至るところに群馬の山や湖が登場します。
自己中心的で利己的な人間集団の中でうまく泳ぎこともできずに擦れ切れてしまった主人公は最後には自然に魅かれ、自然と対面・融和することで新たな生きる道を築こうとしているのかもしれません。
読んでいて「自然と神」「生々流転」「独生独死」などの言葉が浮かんでくる本でした。