平凡な感受性

好きな作家をあげろと言われれば、その一人に古井由吉をあげることであろう(ただし私は初期の頃の小説しか読んでいない。)
私は若い頃、芥川賞を受賞した「杏子」や「妻隠」「円陣を囲む女たち」「行隠れ」といった古井の初期の作品は何度も読み、古井由吉の感受性やその文体に惹かれたように思う。
でも、その感受性は精神の病と紙一重のところもあり、そのようなものに惹かれるのは少し危ないとも感じていた。周囲の人に薦めてもあまり共感は得られなかった。

最近新聞で、古井由吉を「現存する日本語圏最大最高の作家」と言われているという記事を読み((朝日新聞3月19日朝刊)、私の感受性は、日本人の平均に近く、かなり平凡であることを知った。