学校のジェンダー不平等について

ジェンダーの平等が言われているが、教育の世界では依然ジェンダーの不平等が続いている。その一つは、学校の管理職に女性が少ないこと。それについての考察は、河野銀子編著『女性校長はなぜ増えないか』(勁草書房.2017年)などに詳しい。今日(3月18日)の新聞に、そのことの最近の状況が載っていたので、一部を転載する.

<学校のジェンダー不平等 女性校長、公立中高で1割満たず/ 中学校は9・8%、高校(全日制)は9・2%――。これは、公立校の校長に占める女性の比率です。ジェンダー平等の実現が国際的な課題となるなか、日本の校長の女性比率は諸外国と比べて極めて低いのが現状です。/ 文部科学省の学校基本調査(昨年5月1日現在)によると、公立校の校長の女性比率は小学校で約25%なのに対し、中高では1割に満たない。「教員」「副校長・教頭」「校長」と職位が上がるにつれて女性比率が下がる傾向がどの校種にも見られた。/ 女性校長が少ないことは、何が問題なのか。まず挙げられるのは、「リーダーは男性」といった性別役割分担意識を子どもが持つ恐れがあることだ。/ 次に挙げられるのは、学校における意思決定層の多様性の欠如だ。/ では、なぜ女性校長は少ないのか。どうすれば増やせるのか。 管理職になりたくない理由の中で、男性より女性が選んだ割合が特に高かったのは「育児や介護などとの両立が難しい」だった。ジェンダー平等の実現が叫ばれるなか、家庭の負担が女性に偏っているのが実情だ。/ 管理職へのキャリアアップに求められる「暗黙の要件」が女性教員を排除してきたと指摘するのは、山形大学の河野銀子教授だ。管理職になるための事実上の要件として、長時間労働を伴いがちな教務主任の経験や、合宿型の中央研修への参加などが求められ、家庭との両立が難しい女性教員が管理職になるのを阻まれてきたという。また、地域によっては「夫婦で教員の場合は両方が管理職になるのを避ける」「女性教員は孫が生まれたら退職する」などの慣習があり、女性管理職が増えない要因になっているという。河野教授は「女性が排除されやすいルールや慣習を見直すべきだ」と話す。>(朝日新聞、3月18日朝刊より一部抜粋)

ジェンダーの平等も含め、今話題になっている教育の多様性に関して、河野銀子さんの講演や河野さんが参加するシンポがいくつか開催されるようだ。

3月22日:学術会議 https://www.scj.go.jp/ja/event/2023/331-s-0322.html

3月26日:人文社会科学系学協会男女共同参画推進連絡会(GEAHSS) https://geahssoffice.wixsite.com/geahss/single-post/geahss_20230326