「頭」と「心」と「からだ」がばらばら

評論家の加藤典洋は、その著書『村上春樹は、むずかしい』(岩波新書2015)の中で、「高度情報化社会の到来などといわれるようになったあたりから、私たちの生の経験は『頭』と『心』と『からだ』がばらばらに世界とつながるようになった」(202頁)と指摘し、村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』以降の作品に、そのような人物を登場させているという。
普通、人の「頭」と「心」と「からだ」は一体のものである。だからこそ人は相手を信頼し一貫した行動を期待できるが、それがばらばらだとしたら、人の何を信用すればいいのであろうか。
また殺人を犯した「からだ」と「心」や「頭」が別物だとしたら、その犯罪をどう裁けばいいのであろうか。(今でも心神喪失状態で犯した罪は罰せらられない)
「頭」と「心」と「からだ」がばらばらだというのは荒唐無稽と、決めつけられないのが現代である。
他界から異界へ、隠喩から換喩へと、村上の世界は移っており、それに共感する我々読者がいる。

最近の入試問題

最近京都大学などの入試問題に関してマスコミを賑わす記事を読むことがあるが、入試の出題者の大学人は、自分の研究とはあまり関連しない仕事に頭を悩ませていることであろう。そうかといって予備校関係者に出題を頼むこともできない。
最近の興味深い入試問題に関して、卒業生のU氏からいくつか知らせてもらった。現代の社会風潮を反映した問題も出題されていることがわかる。

<1【2018 早大(スポーツ科学部)小論文】
じゃんけんの選択肢「グー」「チョキ」「パー」に、「キュー」という選択肢も加えた新しいゲームを考案しなさい。解答は、新ゲームの目的およびルールを説明するとともに、その新ゲームの魅力あるいは難点も含めて、601字以上1000字以内で論じなさい。
2 2018 早稲田大(国際教養)(英語の自由英作文問題)
Qualities like mental focus and dexterity are very important in some sports. This has led some people to propose that playing video games should be recognized as an Olympic sport. Write a paragraph in ENGLISH giving your own opinion on this proposal, with appropriate reasons and examples.
3 早稲田(政経)の自由英作文は、
2017年 “Gay marriage should be made legal in Japan.”
2018年 “A law should be passed in Japan establishing a minimum percentage of women in key positions in the government and major corporations.” >
4 早稲田(政経)2017年、一橋大(前期)2013年
Recently, many governments around the world are legalizing marriage between two people of the same sex. Legalizing same-sex marriage is a good idea in Japan. Explain why this is true. (120-150 words)が類題。