谷川彰英先生の「エンジン01 in 市原」での講座を聞きに行く

谷川彰英先生(筑波大学名誉教授、地名作家、中央教育研究所の元理事長)が、「エンジン01 in 市原」(https://enjin01-ichihara.jp/)の講座の1つに登壇され、「千葉の地名から日本がわかる」という題で報告されるというので、それを聞きに行った。以下その報告(記録)。(谷川先生のご著書『ALSを生きる』に関しては、2020年3月21日のブログで紹介している。)

 日時は、1月27日(土曜日)12時~13時15分。会場は、千葉県市原市の帝京平成大学の教室。定員80人ほどの中教室で、そこが満席だった。聴講者は、中高年が多く、4対6くらいで女性が多く、地名ファンあるいは谷川ファン人が多いという感じで、会は冒頭から終止あたたかい明るい雰囲気であった。登壇者は、谷川先生の他、3名の方(ルポライター、映画監督、写真家)がいて、主にルポラーターの方が、谷川先生の書かれた原稿(それは「千葉の地名に関するクイズ」)を読み上げ、そのクイズの解答を視聴者に聞くという形式で進行した。そのクイズの内容がとてもよく出来たもので(谷川先生の地名に関する歴史的,民俗学的知識が散りばめられている)、そこに3名の登壇者の話も挟さみながらの、興味深い内容だった。最後に、会場から出された難しい地名(漢字)の読み方を、谷川先生が当てるというものがあり、谷川先生の博学ぶり健在ぶりが示されてた。中身の濃い部会(セッション)で、時間が経つのがあっという間で、聴きに来てよかったと思った。谷川先生は筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病で体が不自由というお話をお聞きしてたが、車いすの谷川先生は、顔色もよく、自分からの発言は障碍者用のPCを通してだが、他の人の声は難なく聴けるようで、終止にこやかで、健在ぶりを確認することができた。献身的で素敵な奥様がいつも傍についていらっしゃり、また他に介護の方も2名いてそれが谷川チームという説明であった。谷川先生の普段使われている障害者用のpcの説明が奥様の方からあり、普通のワードなどとは違い、ひらがなの50音から2段階でひらがなを選んで、それから漢字変換をする仕組みで、普通のワードの10倍以上の時間がかかるとのこと。谷川先生はそれに1日10時間近く向き合い、10ページのニュースレターを打ち込むのに2週間はかかるとのことだった。

 谷川先生が、ニュースレターの最新号(2024.1.18)に、「これまでたくさんの著作を世に問うてきましたが、直接的には学者として作家として少しでも大きな成果を残したいという思いでやってきたものです。しかし、ALS宣告以降の著作は明らかに違う意図で書くようになりました。ALSという難病にめげずに執筆を続けることが、周りの人々に生きる勇気と元気を与えているかもしれないと考えるようになったからです」(NO69.p.6)と書かれてる。先生のご著書やニュースレターに、先生の多くの時間の労力と思いが込められていると思うと、その言葉と内容の重みが伝わってくる(先生はASL発病後、6冊の本を出版されていて、もうすぐ7冊目が出るとのこと)。先生は難病にめげずに執筆を続けて、このような会に登壇される姿は、多くの人に生きる励ましと元気を確実に与えていると感じた。