敬愛大学での最後の授業 

今日(1月25日)は3時限に、敬愛大学で特任として教える私の最後の授業(「教育課程論」こども学科1年生対象)があった。普段通りの授業を行う予定であったが、国際学科の水口章先生(教授)が、気遣いをして下さり、こども学科の学生全員に、今日が私の最後の授業の旨をメールで伝えて下さり、水口先生と4年生の数人が聞きに来てくれた。4年生と1年生から花束をいただいた。敬愛大学の先生や学生の心遣いと優しさを感じた。
1時限の2年ゼミでも、最後の授業ということで皆で、写真を撮った。
今日の授業(「教育課程論」)で話した内容は、下記のようなこと。

私は20年間勤めた上智大学を65歳の定年で7年前に退職しましたが、敬愛大学がこども学科を立ち上げるというので、1年契約の特任教授という身分で雇っていただきました。気が付いたら1年のつもりが6年にもなりました。このことで、敬愛大学と、私の授業を聞いてくださった学生諸君には深く感謝しています。
それで、今日が最後の授業ということになりますが、特別の授業ではなく、いつもと変わらず、文章をたくさん読んで、それに対する自分の考えを書いてもらいます。
この科目(「教育課程論」)のまとめは先週に行ったので、今日は「教育課程」ということと少し離れますが、3つのことを話します。
ひとつは、今年私が「教職概論」という授業でこども学科の2年生に対して半年かけて話した内容です。それを20分程度で話したいと思います。来年度は、この科目は別の先生が担当されるので、皆さんに私が話すとなると今日しかありません。
「教職概論のまとめ」というプリントを見て下さい。お話ししたいことが16項目あるのですが、時間がないので数項目だけ、これは教師になるためにどのような資質を身に付ければいいのかという内容です。6番、7番、8番、11番、13番、16番を読み説明したいと思います。さらに、そのプリントの裏に、「柔軟な思考が大事」という文章がありますので、それを読んで下さい。私が皆さんに伝えたいことを書きました。
もう一つは、私の専門の教育社会学(Sociology of Education)という分野のことです。私は40年近くこの分野の研究をしてきて、この分野が発展することが、日本の教育をよくすることに繋がると信じているのですが、この分野への理解が、国レベルとか全国的には広まっているのですが、残念ながら千葉県の大学ではではそのような認識はなく、教育社会学を教える教員が千葉県の大学にほとんどいません。また「教育社会学」という科目もほとんどの大学で設置されていません(敬愛大学も同様です)。神田外語大学では教職の選択科目にあり、私が非常勤で今年まで担当していました。それで「教育社会学」の重要性を皆さんに、伝えておきたいと思いました。ただ、教育社会学という分野が、教員採用試験にはあまり出ないものですから、皆さんの関心も向きにくいと思います。教育社会学は、教育の現実というものを重視するのですが、教育実践とは一線を画するので、そこがわかりにくいと思います。ある集団の中にいるとそのことが近すぎてよく見えないことがあるように、学校の中にいると学校の中がわからないということがあります。集団の外の人の方が中がよくわかっているということがあります。それと同じで、実践者の教師には見えなかったり自覚されないことが多くあります。狭い教師の視野を広げるには、教育社会学の視点が大事です。教育社会学の特質を述べたいくつかの資料を読んで下さい。新堀通也は教育社会学の特質として①純粋科学、存在学,②実証性、③教育の社会的性格という3つを、伝統的な教育学との対比で述べています。
第3に、私自身の過去の研究を振りかえった文章(「学生文化への関心」ソフィア55巻3号、2007)がありますので、読んでいただければと思います。私が教育社会学という分野にどうして関心を持ったのか、そこでどのような研究をしてきたのかをまとめたものです。教育社会学の具体的なテーマでの研究の一端を見ていただくことができると思います。
以上で私の最後の授業を終わります。半年間ありがとうございました。

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