我が子が東大に合格するということ

知り合いの人の子どもが「東大に合格した」という話しを聞いた。
自分の子どもが東大に合格するというのは親としてどのようなく気持ちなのであろうか。経験がないので実感としてわからないが、誇らしく、うれしく思うのであろうか。
東大合格者数を都道府県別をみると(2017年)、東京都がトップで916名、2位が神奈川県226名、3位が兵庫県で182名、4位が千葉県144名、5位が愛知県130名である。それに対して1ケタの県が7県(佐賀9名、秋田7、沖縄7、滋賀7、高知6、鳥取5、島根1)ある(全国学力テストの順位と対応していないのが興味深い)。
その知り合いは、この少数7県のうちの1つなので、自分の子どもが住んでいる県のトップ1ケタに入る優秀な子と、誇らしく思うのかもしれない。
ただ、最近は受験熱は醒めているし、東大より別の大学の医学部志望の子どもも多くなっているだろうから、東大合格はそんなうれしいことではないかもしれない。
それに、東大には優秀な教授陣が揃っているかもしれないが、そこでの教育が熱心に、また学生の為を思い行われているとは限らない。さらに、キャンパスライフの充実度や楽しさは東大は、平均あるいは平均以下であろう。
かえって、性格の偏ったものや個性が強く、競争心の旺盛なもの同士の集まりで、大学の友人関係がかなり難しいということもあるだろう。
確かに東大卒の就職はいいかもしれないが、東大卒の少ない職場に入り、能力以上の期待が大きかったり、東大卒なのにこんなこともできないのかと周囲から非難され苦労した例を聞いたことがある。

「東大生は頭がいいわけではなく、本人がそう思っているだけの凡庸な学生の集まり」というような趣旨のことを上野千鶴子(元東大教授)が言っていた。
 
 大分前になるが、非常勤で教えた東大での授業の受講生の中に、「大学を卒業したら専業主婦になる「」と言っている女子学生がいたが、今はその時以上に、東大生も普通の大学生と同じ意識をもっているのかもしれない。 それならば、何も心配することもなく、親も「子どもが人並みに大学に入れてよかった」と、過大な期待を抱くこともなく、子どもの成長を見守ることができるであろう。

追記 (これは、少し違った観点からの東大論)
 今は親の階層(階級)が子に影響する格差社会と言われるが、同じ東大卒のエリート官僚でも、親の階層によって考え方や行動が違ってくるのかもしれない。
 前川元文部次官は親の階層が高く(高校は麻布高校)、政治家に対しても忖度することなく事実を開示した。佐川元理財局長は福島出身で父を亡くした家庭で苦労して東大経済学部に入り(高校は都立九段高校)、成績優秀で財務省に入り出世しても、上の政治家の意向には逆らえない。
(上記は私の独断だが、一般にはこれは親の階層差ではなく、時代の流れだという見方の方が優勢であろう-下記の朝日新聞記事*参照)

*<官僚がもっとストレートに発言していた時もある。 前の文部科学事務次官で、加計学園の問題で「行政がゆがめられた」と発言した前川喜平氏は文科省の課長だった05年、当時の小泉内閣で進んでいた義務教育費国庫負担金の廃止に公然と反対した。世間の理解を得ようと実名を出してブログを立ち上げ、「クビと引き換えに義務教育が守れるなら本望」と書き込んで話題になった。 官僚に対する「政治の支配」を強めたのは、安倍内閣だけではない。小泉氏以降の歴代首相は政治家や官邸の力を強める改革を続けた。09年の衆院選で民主党が「政治主導」を掲げて政権交代を果たすと一層、顕著になった。中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は、官僚批判が強まったあまり、今度は政治が力を得すぎたとみる。「内閣人事局に強大な力を与えてしまい、官僚が主張すべきことや異見を言えなくなっている」と話す。(朝日新聞、3月16日朝刊) *