「信号の無い横断歩道」について

「信号のない横断歩道」に関して、私はこれまで誤った認識をしていたのかもしれない。
 私は「信号の無い横断歩道」では歩行者優先なので、車は一時停止しなければならない」と法律でも定められものとばかり思っていた。しかし、どうもそうではないようだ。

インターネットで調べると、次のような文章にでくわした。
<「止まる理由は単純です。人の命はとても大切で、かけがえのないものなのは当然として車が止まらなければ、歩行者は命の危険を感じるでしょうし車の方が圧倒的なパワーを持っているので、もし車が止まらなければ歩行者は車が途切れるまで渡ることができません。>

つまり、「信号のない横断歩道」で、車が止まるのは、そうするのが義務ではなく、車を運転する人の「善意」や「思いやり」でなされている、というわけである。
 当然のことながら、人の「善意」を当てにして生活することはできないから、これからは、「信号の無い横断歩道」を渡る時は、車が途切れるのを待とう(これまでは、私はそのようにしてこなかった。よくここまで生き延びて来たものだ)

 歩行者と運転者の思いは、ずれているのかもしれない。歩行者は、「横断歩道は歩行者優先で、歩行者が渡り始めたら車は止まらなければならない」と思っていて、運転者の方は、「横断歩道を人が渡っていても止まる必要はない。自分が止まっても、後続車が路上駐車と間違えられて追い越すかもしれないし、対向車が歩行者に気がついてない時は、止まるとかえって危険である、したがって、横断歩道でも信号がなかったら止まらない方がよい」と考えているかもしれない。
歩行者は「信号のない横断歩道」に対する認識を改め、これから車優先と考えて、「車は止まってくれない」「車が来ない」ということを確かめて、横断歩道を渡った方がいい。

 歩行者優先か車優先かで、その国の民度や文化度がわかるような気がする。欧米諸国は歩行者優先で文化度は高く、アジア諸国は車優先で文化度は低いように思う(それは西洋基準の計り方という面もあるが)。それを、私自身は上海とハワイで、そのことを実感した。
  日本は、その点は欧米諸国に近いと思っていたが、そうでもないかもしれない。 
 日本国内で差があるのであろうか。大都市はそもそも「信号のない横断歩道」は少ない。でもその結果、運転者はどちらに傾くのであろうか(運転者は、信号に反応するのか、横断歩道に反応するのか?)。
 「信号のある横断歩道」ばかり見て運転している大都会の人間は、「信号のない横断歩道」にさしかかった時、やはり信号の方に反応して、赤い信号はないしと思い、そのままそのまま突っ切るのではないか。。
 避暑地は、どうであろうか。地元の人は、あまり「信号のない横断歩道」で止まること(習慣)はなく、避暑に来ている人に心の余裕があるので、止まる車が多いのではないのか?

 軽井沢のソフィアートのスタッフMさんのブログには、最近(8月11日)次のような文章が書かれていた。(http://www.sophiart.co.jp/mwatchmemo20130811.htmよりの転載)

 <歩行者の立場で見ると車の運転ルールの無視やマナーの悪さに呆れることが多い。別荘地の私道や細い生活道路を我が物顔で猛スピードで抜け道にするのはよく見る光景だ(地元の長野ナンバーも多い)。
信号のない横断歩道で歩行者が待っていても、止まる車はほとんどない。見通しが悪くても、道路上に菱形マークがあるので横断歩道の存在に気がつくはずであるが、ほとんど意識されていないのが現状である。歩行者の待つ横断歩道で止まるのは、善意ではなく道路交通法上で決められたルールであることを知らない(または意図的に違反している)ドライバーがあまりにも多い。
散歩中に観察した光景では、見通しの良い直線道路で、対向車線で大型バスが横断歩道で待っている歩行者に気づき停止している状態でありながら、反対車線を走行中の自動車が10台以上、歩行者を無視した。それらは適当な車間で時速40キロ程度で走行中、しかも横断歩道で待っている歩行者を眺めながらも停止しなかった。さすがに交通法規に厳しいプロドライバー(バスや優良タクシー、優良宅配専業)や安全意識の高い車は止まる。ただし、ただ止まれば良いというものでもない。恐縮して急いで渡ろうとする歩行者が、停止する意識のない対向車によって事故に遭う危険もある。その他にも、目に余る悪質運転が世の中には横行する。弱い立場の子供たちやお年寄りなどの歩行者や安全運転に配慮している運転者が、被害に遭わないことを祈る。>

(このMさんのブログでは、実際の法律や「信号機のない横断歩道」でどの程度の車が止まるかの観察記録も紹介されている。必見である。
 もちろん、軽井沢の草花や鳥のことに関するMさんの文章は、完成度が高く香があり、いつも感心させられる)

中央教育研究所・所長の水沼さんより、さっそく次のようなコメントもいただいた。記して、感謝したい。
<信号のない横断歩道に関して、先生と同じように歩行者優先と考えていました。 しかし現状は横断歩道を渡ろうとしても大半の車が止まってくれません。
 ネットで調べたら、やはり止まらない車は道交法違反でした。
「道路交通法第38条」は ①横断歩道では徐行し、歩行者がいれば必ず停止すること。②横断歩道の前で停止している車を追越す場合は一時停止すること。③横断歩道の前30m以内で進行している車を追い越してはならない。④横断歩道がなくても交差点を渡っている歩行者を妨害してはならない。と謳っています。
 世相として社会的弱者に対する思いやりが薄くなっています。これが交通弱者にも現れているのだと思います。>
また、知人のKさんからもイギリスでの体験をお寄せいただいた。感謝したい。
<ブログで「信号のない横断歩道に関して」を読ませていただきました。イギリスの生活で最初に驚いたのが、「横断歩道で絶対車が止まってくれる」です。
すごく有難いような申し訳ないような気がして、お辞儀をしたり、手を振ったりしていました。>
さらに、知人のGさんからも、次のようなコメントをいただいている。
<私自身、ヨーロッパで何度かドライブし(イングランド、スコットランド、ドイツ、オーストリア、フィンランドなど)、日本の状態を知るものとして、車の歩行者に対する過剰?思えるほどの配慮(と、反面、動物の犠牲の多さ)に驚くことがしばしばありました。>