地域格差 –地域の「偉い」順

卒業生のI氏から下記の本の紹介もあった。ブログの地域(ふるさと)関連での紹介であろう。
<首都圏のある程度は誰しも肌で感じている地域格差が、相当程度(偏見・毒舌混じりに)炙り出されています。二十三区(+都下)や主要沿線別の記述が圧巻です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4905447828/tokyodeep-22(元サイト http://tokyodeep.info/ <http://tokyodeep.info/>このサイトからのリンクでこんなのも見つけました。

ややデータが古いですが。首都圏の市区別の高等教育卒業者比率のマップ http://kishibaru.cocolog-fty.com/blog/gakureki_shutoken_mr.html )>

左の数字:大卒率(単位%)/右の数字:偏差値
1位~10位 横浜市青葉区 58.8 74.9 武蔵野市 54.6 70.7 横浜市麻生区 53.1 69.2 小金井市 52.3 68.4 国分寺市 51.4 67.4 世田谷区 51.2 67.2 目黒区 50.8 66.8 文京区 50.6 66.6 鎌倉市 50.6 66.6 杉並区 50.3 66.3  (以下略)

地域・地区をランキングするという試みは、昔からあったように思う。
「東京23区の偉い順」という内容の本を昔読んだことがある。
昔、湘南快速電車を千葉まで延ばすという話が出た時、湘南の人はそれに反対したという話を聞いたことがある。グリーン車を連結した快速に重役のいない千葉方面の人は、乗る人がいないであろうと。
東京への通勤時間が同じ時間がかかるところでも、土地の値段がかなり違い(湘南の方が高い)、沿線によって、乗っている人の階層や雰囲気(上品さ?)がかなり違う。
田園調布のひとり娘と結婚した後輩は、相続税が高額で、田園調布では自分達の子どもを祖父母の養子ににして、相続対策をしていると聞いたことがある(子どもの苗字が途中で変わるのは、ステータスになるという)。
上智の新入生が自己紹介する時、東京、神奈川出身の学生は誇らしげに出身地域を表明していたが、千葉や埼玉出身の学生は少し出身を恥じているようなしゃべり方であったことを思い出す。

地名に詳しい谷川彰英先生(筑波大学名誉教授)は、少し前に千葉の地名の本を出し、これから埼玉の地名の本を出す予定にされているが、千葉や埼玉が、高々2~300年(?)の歴史しかない東京に比べ、古い歴史があり、県民が誇るべきものがたくさんある。千葉県民、埼玉県民はもっと自信と誇りをもった方がいいと言われたことがある。

私の家の近くの県立犢橋〈こてはし〉高校に、かって木村拓哉とマツコ・デラックスが在籍していたことがある(マツコ・デラックスは卒業している)とのこと。千葉にも有名な芸能人がいる(いた)ことを誇りに思ってもいい。

美を感じるところー理系人間と文系人間

何に美を感じるかは、人それぞれであろう。
ただ、理系の人間と文系の人間では、美を感じる対象が大きく違うような気がする。
スタジオジブリの映画「風立ちぬ」の主人公堀越二郎は、飛行機の機能美に惹かれ、恋人菜穂子の病気への看護を怠り(病床の枕もとでタバコを喫い、飛行機の話ばかりしている)、菜穂子への愛情は薄かった。理系人間なのである。
生物学者・福岡伸一は、ファショナブルな女性の配色よりアオスジアゲハの配色が素晴らしいといい、さらに次のように書いている。
<ウンモンスズメというガの一種のはねの見事さはどうだろう。褐色の地に、墨汁をたっぷり含んだ毛筆で優美なにじみ紋様を描いたあと、流線形の先端にちょんと濃い黒点を置く。篠田桃紅もかくやと思えるほどの出来栄えである。そう。私の審美眼の基準は、いずれも少年の頃、目に焼きついたチョウやカミキリムシの姿、つまり自然が作り出したデザインに由来している。そこからの逸脱は違和感に映るのだ。笑いたい者は笑うがよい。されど私は、人生にとって大切なことはすべて虫から学んだ。>(朝日新聞 7月6日朝刊)

私の場合は、バラの花の造形美は見事だと思うが、モノや生物の美より、人間の作る社会的、人間的なものの美の方に惹かれてしまう。やはり文系人間なのであろう。

「ふるさと」の4番(敬愛大学 こども教育学科 1年生)

7月7日の敬愛の授業は予定通りに行った。
「地域への愛着」を考えてもらうために、過去にも試みたが、西島央氏の新聞記事を参考に、「ふるさと」の4番を作ってもらった。敬愛大生の出身は千葉県が多いが、その地域性が如実に出ている。未来はあまり明るくない。

・休日なく働いて その後手にしたのは何なのか 栄光の日をもう一度 取り戻どそう ふるさと
・佇まいが変われど 温かみは変わらず 月日は経っても 忘れがたき ふるさと
・夜は満天 星空 キレイな海と 元気な人 どこにも負けない 地元愛 だいすきな ふるさと
・どこを見ても 先見えず 周りには 家店 山や海はなし 自然なし ふるさと
・拳銃自殺 駅前 発砲事件 デニーズ 事件 心霊 多いけれど 離れがたき ふるさと
・美容院もネットで レストランもネットで 予約もネットで当たり前 変わりゆく ふるさと
・窮屈になっても 再び 栄える 身は つねにふるさと 心は常にふるさと
・千葉に来たよ 都会だ みなが殺伐とした 電車 人の波に のまれて 心に影が ふるさと
・わたくしたちは 不安だ こんな世界 住みにくい 本当は 今も夢見てる 取り戻したい あの町
・まわり見れば みんなが 携帯を片手に 会話もせず 下を向き コミュニケーション 皆無だ
・都会近い故郷 森もあるよ故郷 治安が最近悪いよ だけど好きよ故郷
・ある日 ふと帰りて すぐに気付く違いを 外見は常に変わるけれど 心に変わらぬ ふるさと
・忘れられぬあの地へ 愛を胸に帰ろう おいしい空気に豊かな自然 全てが私のふるさと
・近くに海あり その近くにウオーターガーデン 水しかないこの町 水は清きふるさと
・里を捨てた若者 残りし老人 人はぞくぞく 離れて消えていく ふるさと
・消えていく大自然 増えていく都会 夜も明かりが消えない 変わった場所 ふるさと
・夢も破れ 幾年 流され行く毎日 姿は変われど 今日の日も忘れられぬ ふるさと
・一目見て恋に落ち 毎日世界バラ色 2キロ先にいても 秒で気付く ふるさと
・どこを見ても木々なし 高層マンションや住宅街 夢はyou tuber  将来見えず 未来不安 ふるさと
・2両だけの電車に揺られ 片道4時間 着いた駅は無人で この静けさ ふるさと
・今起きたよねぼうだ 2限なのにねぼうだ 休みたくはないけれど間に合わない ふるさと
・技術の進歩早すぎ 人の進歩進まず スマホの力頼り過ぎて 他の知識身につかず
・田舎育ち18 都会電車多いよ 本数あり過ぎどんどん遅らす 甘え過ぎて遅刻や
・高齢化は進んで 若者は無気力 発展してきたはずなのに 人が減りゆく ふるさと
・ぱっとしない旭市 変な見た目アサピー なまりがひどいこの町 海も微妙 ふるさと
・お米おいしい茂原 水もきれい茂原 世界一のふるさと 日本一のふるさと
・なつかしき日思い出す あの日その時あの場所 今も私の心にある 大好きな場所
・人がこないこの町 都会真似て失敗 線路も電車も通っていない これでいいのか富里
・排気ガスに囲まれ 山にも似たハルカス 夜は人声絶えなく 眠らぬ町ふるさと
・緑の中囲まれ 走り回る田舎道 過疎化が進み 街灯は減る いつまでも ふるさと
・ひきこもって20年 「世に出ろよ」と言われ反抗する 僕の役割は自宅警備員 家が大好き ふるさと
・隣もその隣も老人 高齢化進み 若者どこだ ふるさと 孤独死多しふるさと
・忙しさにかまけて いつの間にか忘れる四季の彩り 楽しむ心思い出したい ふるさと

追記 上智の卒業生のI氏より、下記のメールをいただいた。
「ふるさと」の歌詞の話は、こんな関連記事を見つけました。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-164983?page=1 (東大上位常連「麻布生」が本気で作詞する理由 唱歌「ふるさと」の歌詞に自分を映し出す)

西島氏の新聞記事でも麻布高校生の作った「ふるさと」の4番が載っていたが、西島氏は、その後も麻布高校で同じ試みを続けているようだ。さらにその歌詞に合わせて、プロの音楽家が曲をアレンジし、プロの声楽家が生徒たちの目の前で歌うオプションも付けている。そこに掲載されている歌詞は次のようなものだ。
<ビルの谷間に蠢(うごめ)く社畜、揃(そろ)わされた足並みは足枷(あしかせ)という名の伝統、慰めに築き上げたは見えない関係、過ぎし夢に故郷> <後輩の無礼腹立つ 平成の不況むかつく 大人たちは無責任 未来のことは知らない>

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上智大学の学生に講義をする

20年間勤めた上智大学を退職してから、もう7年以上が経つ。在職中は、学部では2つの講義、2つの演習(ゼミ)、大学院で2つの授業(ゼミ)を担当していたように思う。その他放送大学や非常勤2つの授業の担当を考えると、その頃は忙しい日々を過ごしていたのだと思う。

上智定年後は他の大学で教えることがあっても、上智大学の学生に教えることは全くなかった。それで、時々「上智の学生にも講義したいな」と思うことがあった。
今回、上智の中の1回の授業の中の一部の時間で、学生に話しをする機会を得た。7年半ぶりに、上智の学生の前で話した感想は以下のようなことである。

1 新しく出来た4号館がエントランスも素敵で、4号館の教室がきれいで、マイクの音響効果もよくなっていた。
2 200人も入る教室に60人くらいの学生が、バラバラに散開して座っていて、上智の学生の個人主義的傾向が伺われた。(学年も学部学科もいろいろなせいもあるが)。
3 したがって、講義内容に教室全体が一体となり聴き入るという雰囲気はなく(私の話し方のせいも多少ある)、個人個人が、自分のスタイルで講義をを聞くという感じであった。私語は皆無であるが、話し手としては少し物足りない。
4 学生に書かせるコメントをあらかじめ5つ用意した。配布資料や私の話を聞きながら、質問に答えるというリアクション方式を取った。
それへの記入状況を見ていささか驚いた。記入時間は講義中と最後の5分ほどであるが、ほとんどの学生が、各3センチほどの狭いスペース5箇所に小さな文字で4~5行ずつ埋めていた。その内容も資料や私の話を理解し、さらに自分の意見を述べているものが多い。上智の学生の理解力、文章力にの高さをあらためて認識した次第。

明日(7月7日)の授業予定

明日の敬愛大学の教育原論の授業の予定を掲載しておく。地域や国家(国土)への愛着(愛国心)の教育について取り上げる予定。

教育原論・第12回・リアクション(7月7日)愛着、愛について
1 前回(5月19日)のリアク)シアクションを読んでの感想
2 自分にとって大切なもの(愛(着)を感じるもの)は何ですか。順位を付けて下さい。
(  )自分     (  )家族  (  )友人  (  )恋人
(  )学校  (  )地域  (  )国家  (  )その他(    )
3 井上揚水「傘がない」の主人公が、愛着を感じているものは何でしょうか。
(自分 恋人、社会  他) 雨や傘は何を象徴しているのでしょうか。
今の時代に、雨にあたるもの、傘にあたるものは何でしょうか。
⓵→ 愛着を感じているもの→
②雨が象徴するもの、雨にあたるもの→(       )(        )
③傘が象徴するもの、傘にあたるもの→(       )(        )
4 あなたにとって、生まれ育った場所は,どこですか。 そこに愛着を感じますか。そこが何かで住めなくなったら、どのように感じますか?
①  生まれ育ったところ→(                     )
②  そこに愛着を感じますか
1 とても感じる 2やや感じる 3 あまり感じない 4全然感じない
③   そこが住めなくなったら→1 悲しい  2 わからない  3 困らない
5 藤原新也「私たち国土と民を失った」(朝日新聞2012年7月4日)」を読んでの感想。(教育において故郷をどのように教えていくべきか)
6 新聞記事「唱歌「ふるさと」続く風景は」(朝日新聞2012年6月28日)を参考に、「ふるさと」の曲の3番を作ってください。

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