春はまだ遠い

南房総他で、もう春の菜の花が咲いているというニュースを聞いた。例年3月上旬に菜の花が満開になっていると思うが、今年はどうなのだろうと家の近くの花島公園に出かけた(車で10分、2月12日)。残念ながら、菜の花はまだ10センチ程度の苗状態で、花はほとんど見ることができなかった。公園の梅も、まだ2分咲き程度で鑑賞できるまでの状態ではない。池にサギ(鳥)がいて、それを見ることができたのが今回の唯一の収穫。春はまだ遠い。

日本のテレビドラマ「エルピス」をみる

ネットフリクスの今日本で人気のドラマで、「エルピスー希望、あるいは災いー」が紹介されていた。見始めたら面白く、2日間で最後(10話)まで見てしまった。それは韓国ドラマではなく日本のドラマで、フジテレビ系列の2022年10月24日 – 12月26日に放送されたものである。ネットフリクス他でも全10話が、コマーシャルなしで一気に見ることができる。テレビ局のニュースキャスター(長澤まさみ主演)とデレクター(眞栄田郷敦主演)が、政治の圧力に屈せず事実をどこまで放送できるかを悩むドラマで、日本のドラマとしては、とてもよく出来たドラマだと感じた。韓国ドラマの「秘密の森」と「ピノキオ」を合わせたドラマという感じであった。

ネットでみるといろいろな解説や感想が書かれているが、3つほど転載しておく。最初は、長澤まさみファンの一女性の感想(一部掲載)。

<サトーの日記 /全10話のドラマです。SNSでも話題になってましたね。普段はドラマより経済新聞が好きそうな方々もおもしろい!と言っていたので、興味がわいて見てみました。/久々に好きな長澤まさみさんの演技が見られる!と、ワクワクしながら視聴しました。/ストーリーは、ザックリいうとスキャンダルでスター街道を外れたアナウンサー浅川恵那と自分の過去を直視できないまま大人になったエリート青年、岸本拓朗がふとしたことから冤罪事件を追っていく物語です。/テンポもよかったです。展開は速いんですが、速すぎるということはなくてこんなに盛りだくさんでいいの?っていう充実感がありました。/面白かった理由は扱ってる題材とかストーリーとか脚本とかキャラクターとかいろいろあると思うんですけど、個人的には、長澤さんの演技がとてもよかったです。長澤さんの役はあの年代の働いている女性がリアルに感じている考えていることがそのまんま出ていると思うんですよね。大げさすぎず、静かに表情だけで演技するシーンも多くてとても良かったですね。長澤さんは今の日本で最強クラスの女優さんじゃないかなと思うんですよね。/このドラマで扱われている問題は冤罪を意図的に生じさせる組織の体制だったり、政治とカネの癒着だったり、大洋テレビ社内で横行するセクハラやパワハラ発言だったりいろいろあると思うんですけど、その組織のカラーにどこまで染まるかとか、どこまで許容するかとか、どこで自分を取り戻すかとかは,選べると思う。/ミステリーとかサスペンスとか逆転劇とかが好きな方は楽しめると思います。長澤まさみさんも、他の俳優さんもいい演技をしています。> (https://fortunamajor.hatenablog.com/entry/2023/02/10/063000

2番目に、「脚本家・渡辺あやが『エルピス』に込めた思い」のコメントを一部転載しておく。

「組織というものは一枚岩ではなく、忖度してしまう人たちもいるけれど、戦おうとする人もいるし、真実を追求したいと思っている人たちもいるのではないか。そういう人たちがいるとしたら、今、どういう振る舞いをするのだろうということをドラマにして自分で観てみたかったっていう感じですね。」「世の中にすごい悪の黒幕がいるというよりは、それこそ善人たちが忖度しあったり何かを押し付け合ったりし、その場しのぎで何かをしてしまったがために、たいへんなことになる。多くの問題は重層的な構造になっている気がします。」「人間って、たった1人でも信頼できる人がいれば、希望を持てると思うんですよ。」「(長澤さんのは)すごく良くて、とても感受性の豊かな人だなと思いましたね。感情性が豊かだからこそ、いろんな表情を見せてくれるし、まだ見せたことのない表情や聞いたことのない声もあるんじゃないかなと。あれだけのキャリアを持ちながら、そんな予感をさせる女優さん」(https://realsound.jp/movie/2022/10/post-1167351_2.html

3番目にドラマのプロデューサーの佐野亜裕美(1982年生まれ。東大教養学部表象文化論専攻卒業)のインタビューもWEBに載っているので転載する。

「主役は長澤まさみさんを想定して、脚本が3話できた段階でオファーしたら、長澤さんからぜひ出たいとお返事があったんです。放送は決まらない。宙に浮いた状態が続きましたが、このドラマは絶対に面白い、絶対に放送する、と思い続けました。6年間、「エルピス」のことを忘れたことは一瞬もなかったです。」「(脚本家の渡辺あやさんは)私の第一印象を「しょぼくれた柴犬が来た」と言っています。その頃、会社では組織の環境に合わず、つらかった。現場の仕事が評価されず、自信もなかった。そんな私にプロデューサーとして何がしたいのか、あなたは何者なのかと聞いてきた。心に言葉が刺さり、涙がポロポロ出たことも。聞くだけでなく叱咤激励してくれた。 その結果、自分の価値は自分で決めるのだと思えるようになったのです。「エルピス」は、長澤まさみさんが演じる人気が落ち目の女性アナウンサー恵那と真栄田郷敦さん演じる若手ディレクター拓朗、「価値がない」と他者からレッテルを貼られた主人公2人が自分の価値を自分で認めていく物語です。主人公たちには私自身の姿が投影されているといえるかもしれません。」(https://digital.asahi.com/articles/ASQDC3FKGQD6UCVL02V.html?iref=pc_rellink_03)

追記 武井 保之「ドラマ「エルピス」圧倒的な重厚感を生む3つの点―熱量が伝わる脚本や、長澤まさみの熱演も話題」(東洋経済2022/11/07)にも同様の感想が綴られている。(https://toyokeizai.net/articles/-/631221