ペット・ロス(の心配)

今から6年半ほど前(桜の季節)、妻は稲毛海浜公園に犬の散歩に行った折、うちの犬と同じ犬種(キャバリア)の1匹の犬が、公園に捨てられ、さ迷っているのを見た。家に帰ってきてからもその犬のことが気になり、再びそこに見に行った。捨て犬は、数日は野晒らしに置かれたようで、黒ずんで元気なさげで、放浪していたという。妻は、うちと同じ犬種ということもあり、見捨てることが出来ず、車に乗せ連れ帰った。まず、犬の病院に連れて行き、そこで、検査と診察、治療とシャンプーをしてもらった。(2泊3日で費用は、うちの犬の買値より高かかった)。
かわいそうで、うちの犬と一緒に飼うしかないと思ったようだ。ところが、家で一緒に置くと、うちの犬が拗ねて、元気をなくし始めた。それを見た妻は、「半日でも家に置くと、情が移り捨てられなくなる。すぐ保健所に連れて行く」と言い出した。
次女がちょうど帰ってきて、それを聞き、あわてて近所の家に「捨て犬を飼ってくれないか」と頼みに走った。
隣の家では動物好きの人だが、「子犬と猫がいて無理」と言われた。向かいの家の人(最近犬をフィラリアで亡くしている)が、「飼ってもいい」と一度言ってくれたが、「その犬もフィラリアに罹っている」と伝えたら、「それでは無理」と断られた。
斜め前のTさんの家が最後の頼みで聞きに行ったら、「猫が3匹ほどいるけど、ボス猫が認めたら飼ってもいい」と言ってくれた。そこで「お試し宿泊」となり、ひとまず命は救われた。1週間ほどで、無事ボス猫の許可も出て、その家で飼ってくれることになった。
うちでは感謝し、「何かあればうちで面倒を見ますから」ということで、病院での定期検査や薬の投与(狂犬病、3種混合、フィラリナの薬)、病気の時の通院、毛のカット、シャンプー(これは、1か月に1~2回、私が家の風呂場でやった)、犬の餌(キャベツ、ニンジン、サツマイモ、鶏肉の煮込みのようなものを週2回は作り届けた)、それに、Tさんが泊まり込みで出かけるような時は、うちで預かった。

そのキャバリは、見つかった季節が春だったので、「サクラ」と名付けられ、可愛いがられて来た。なぜ、捨てられたのかわからないが、前の飼い主にしつけもよくされた素直な犬で、最初は捨てられて情けない顔をしていたが、段々穏やかな顔つきになっていった。(後の写真で、「サクラ」は向かって右。2年前の様子)
Tさんの可愛がりのおかげであろう。それから6年半の年月が過ぎた。

そのサクラがこの1カ月、急速に衰え、今朝、息を引き取った。

拾った時の年齢が不詳なので、それから6年半たち、何歳だったのかわからないが、きっと犬の寿命だったのあろう。ペットの葬儀場で,葬儀をあげ、火葬して,可愛い箱に入れてもらい、帰宅した。
可愛がってくれたTさんと家族の方(Tさんと二人の息子さん)、うちの妻と娘たちと私、それに近所の人に、ペットロスの症状が出るのは必然であろう。 
「サクラよ、安らかに眠れ!」