英語の民間試験の比較(その2)    水沼文平

3月27日の「英語の民間試験の比較」を拝見しました。3月25日の朝日新聞で鳥飼玖美子先生の元気で若々しい姿を拝見しうれしく思いました。「CEFR」(セファール)に関しては、中研が2012年5月に発行した「研究報告No.80」 の「自律した学習者を育てる英語教育の探求」で特集を組んでいます。内容は「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)についての研究」と「中央教育研究所講演についての記録」です。鳥飼先生を中心に取り組んだ「自律した学習者を育てる英語教育の探求」は2009年に始まり2018年まで8冊の報告書を作成しています。

私はこのプロジェクトに事務局として毎回参加しました。ヨーロッパでセファールが作成された背景として鳥飼先生は「ヨーロッパは長年戦乱の時代が続いた。その原因のひとつに言葉が通じなかったことを上げることができる。戦争のない平和なヨーロッパにするためには自国の周辺国の言葉をお互いに習得する必要がある。そうすれば意思疎通が可能となり、無益な戦争を回避できるようになる」と説明されました。その時私は、日本も隣国の韓国や中国の言葉を習得すればぎくしゃくした関係も改善に向かうのではないかと思いました。外国人に日本語で話しかけられるほどうれいしことはありません。それは日本人に対する最高の敬意の表現だからです。逆に日本人が韓国語や中国語で話ができたら韓国や中国の人に敬意を持ってもらえるはずです。

英語が世界共通語となり、日本政府もビジネス界での英語の必要性を強調しています。幼児からの英語教育など「英語へと草木もなびく」風潮にありますが、日本の英語教育の在り方をセファールの「理念と目標」に照らし再度検証する必要があるのではないでしょうか。(水沼文平) e