「ふるさとの4番(今年も)」への感想    水沼 文平

「ふるさとの4番(今年も)」を拝見しました。
童謡「故郷」の作詞者「高野辰之」の出身地である 長野県中野市を訪ねたことがあります。彼の生地の風景が「故郷」の歌詞そのままなのには感動しました。友人たちとスナックでカラオケになると私はこの「故郷」を歌うことにしています。

大学生の「ふるさとの4番」から、社会に対する批判的観点が薄まり、個人的な生き方、個人としての交わりに重点が置かれていることは「ポピュリズム」の前兆でしょうか。

心に残った3名の学生の4番を挙げて見ます。
〇「私の市 市原 みなに聞かれる 市川? 千葉市民に見下され 残ったのは 田
んぼだけ」
何年か前、御宿の帰りに大原から「いずみ鉄道」に乗り大多喜城を見学、上総中野で
「小湊鉄道」に乗り換え、養老渓谷に立ち寄り千葉市に戻ったことがあります。市役
所のある海岸部は工業地帯ですが、内陸部は純農村地帯で車窓から見る風景は私には
郷愁を誘るものでしたが、この学生には深刻な問題なのでしょうね。
〇「高齢化で ふるさと うちの店は ガラガラ でもすれ違うたび 挨拶かわし 
月日経っても あたたかい」
千葉県内の人口減少地区でしょうか。学生の実家は何か店を経営していますがお客が
減っています。それでも学校に通う駅までの道ですれ違う人たちは皆な顔見知りで言
葉を交わします。都会人が忘れてしまった田舎のいい面ですね。
〇「日本はとても良い国 差別はなし よい国 食べ物 飲料水 とても新鮮 忘れ
がたき おもてなし」
留学生でしょうか。多分中国人だと思います。中国人の日本観は「差別がない、水道
水が飲める、心やさしい日本人」なのでしょうか。こう感じる留学生を持つ敬愛大学
は立派な教育をしていると思います。

私も4番を作ってみました。
「友と駆けし 田の道 夕日仰ぎし 国見山 老残(ろうざん) 漸(ようよ)う
 帰り来て 心休めん 故郷(ふるさと)」

仙台には京都のように「北山五山」(東昌寺、光明寺、覚範寺、資福寺、輪王寺)が
あります。一昨日、友人たちと資福寺の紫陽花と輪王寺の庭園を見に行きました。
資福寺は臨済宗で政宗の師匠「虎哉宗乙(こさいそういつ)」が開祖です。輪王寺は曹洞宗で赤痢菌の志賀潔、陸軍大将の今村均、白虎隊士の飯沼貞吉の墓があります。北山は子どもの頃の通学路、遊び場で60年前の姿で残っているものを多く見かけます。

写真は輪王寺の庭園です。(水沼文平)
輪王寺の庭園