実証的データーで検証することの意味

何となく思っていることでも、実際のデータで確認する意味はある。自分や世間の思い込みが実際とは違っていることはよくあるからである。

外国語である英語の学習で、日本人の英語教師より英語のネイティブスピーカーに習った方が、英語に親しみを持ち、英語が好きになり、英語の学力も高くなるのではないかと、一般には思う。それを、大規模な調査で、確認した報告論文を読んだ。

向後秀明他「外国語指導助手(ALT)が小・中学生の英語学習に対する意識及び中学生の英語力にもたらす効果に関する調査研究」(敬愛大学国際研究第35号、2022.2)である。

中学生で「英語の勉強は楽しい」と「とてもそう思う」割合は、ALTの参加度が「週に3回程度」で40.5%,「週に2回程度」で25.8%、「週に1回程度」で24.8%と、3回と2回以下の間で大きな差がある。英語テストの結果(20点満点)でみると、ALTを「ほぼ毎日配置」で11.0点、「週に3回程度」で10.4点、「週に2回程度」で10.6点、「週に1回程度」で9.1点と、大きな差とはいえない。

この調査は、中学3年生では、アンケート調査を11902名に、英語テストを6228名に対して、アンケート調査は13問、英語テストは英検4級レベル20問を実施した大規模なものである。さまざまな要因が調査項目に含まれていて、社会調査の技法を駆使すれば、ALTの効果の実態がデータで検証され、有意義なものになるであろう。