東書教育賞 審査員講評

  今日(22日)は、東京書籍の「東書教育賞」(http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/tosho-syo/)第27回の授賞式があり、審査員の一人として参加し、次のような講評を述べた。

 今回審査にはじめて関わらせていただきました敬愛大学の武内です.先生方の熱意と工夫のこもった教育実践をたくさん読ませていただき、大変勉強になり、日本の教育もこれなら大丈夫と心強く思いました。
 社会の消費化が進み、子どもの学習意欲がなくなっていると言われていますが、先生方の教え方の創意工夫次第で、このように子どもの学習意欲が高まり、いろいろ考えさせ、高い知識も身につけさせられるということを知りました。
 ただ、ここに応募され、選ばれた先生方の実践は、日本のトップクラスのものなので、これが日本の教育実践の平均とは言えません。先生方の実践を、先日本全国に広めてほしいと思いました。
 私は専門が教育社会学という教育の社会的側面との関連を見たり、またデータで実証的に検証したりする分野に関わっているので、審査でもその点に重点を置きました。その両面で優れたものが選ばれていると思います。
 その教科の内容や法則を先生が一方的に教えるのではなく、子ども同士のやり取りを取り入れたり、地域に人の協力を求めたり、プレゼンに工夫がなされたりと、さまざま実践があるのが印象的でした 小学校の最優秀の関根先生の健康教育の実践でも、E男君が「かみかみソング」をいろいろな人の協力で率先して作ることが健康教育の実践に貢献していることがよくわかりました。中学校の特別賞の井上先生の大浜飛行場の学習では、見学だけでなく、当時の訓練生の教官の話や地域の人の話を聞いたり、またそれを創作劇にして、保護者や地域の人の前で実演するということまでなされ生徒の学習を深めていました。
 第2の実証性の面でも、子ども達への効果のデータをきちんと取り、その実践の仮説の検証や、実践の効果をはかっているものが多数あり、感心しました。
中学校の最優秀賞の小山先生のストロー橋制作実習では、実験の第1回と第2回のデータの比較をし、また競技大会終了後の生徒の感想を丁寧に考察しています。小学校の優秀賞の宇都宮先生の理科ノートのチックでも、指導前の9月と指導後の12月で、よく出来た二重マルの数を比較して、実践の効果を測定しています。中学校の優秀賞の小松先生の英語日記を書かせる実践でも、生徒にアンケートを取り、このような活動で「自己表現が好きになってきたか」を聞き、また生徒の感想を丁寧に考察しています。
仮説の検証という言葉もよく使われるので、そのことで、一言申しあげておきたいと思います。「疑似相関」という言葉があり、見かけ上は関連がありそうだけれど、それは偽の相関だということです。ある新しい教育方法を学校や教師が信奉し一生懸命やると、大体子どももやる気を出しいい成果が出ます。しかし、それはその教育方法のせいではなく教師の意気込みのせいであることが多くあります。それを検証する為には、教師の意気込み同じ比較のグループを作ったり、結果に影響する他の変数を統制したりする工夫も必要と思います。 とかく、教育は信念や教育愛が先行しがちなので、科学性や実証性も大事だということを強調しておきたいと思います。その両方が満たされているものが今回、受賞されていますので、これらの実践が広がり、日本の教育が発展することを願っています。本日は、おめでとうございました。

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