学生文化と学生支援について

 昨日の大阪人間科学大学での私の話(「大学生の生活・文化と学生支援」)では、香川大学の加野芳正教授の『学生による学生支援活動の現状と課題』(広島大学教育研究開発センター、2011年3月)を紹介させてもらった。

1番目は、文部科学省、当時の文部省が出した「大学における学生生活の充実方策について」という報告、いわゆる「廣中レポート」というものがあって、この中にもうほとんど重要な視点が書かれているということです。「教員中心の大学」から「学生中心の大学」への視点の転換、それから正課教育外教育の積極的なとらえ直し、教員と事務職員の連携強化、それから、学生の活用(ピア・サポート)、そういう点が、学生支援において大変重要なことだということを指摘しています。
それから2番目に、学生支援とは、単なる学生へのサービスではなく、学生の自主性や主体性を引き出すための活動である、ということを強調しています。
3番目ですが、学生支援の具体的な領域として、加野教授は、「健康支援」「キャリア形成支援」「学習支援」「キャンパスライフの支援」「社会性、コミュニケーション能力の育成」「障害者学生支援」「外国人留学生」「女子学生」という分野を区別しています。例えば「女子学生」に特化した学生支援もユニークで、その実践(キャリアプランやライフコース支援)はなかなか興味深いものです。
4番目に、誰が学生を支援するのかということで、大学卒業生や地域住民も入っています。それから、重要なのが学生(ピア・サポート)です。これは、学生の自主性や主体性を伸ばすという意味で、学生自身が下級生などを支援するというものです。これは廣中レポートでも強調されていた点です。
5番目のSDというのがまた重要な概念です。普通、SDというと、スタッフ・デベロップメントで、大学職員の研修を指しますが、アメリカのSDは、学生を対象にしています。学生の自主性や主体性の育成、正課と正課外の活動の融合、学生の成長のプロセスへの注目という、学生支援のかなり重要な視点がこのSDという概念の中に入っています。このような視点は、あまり日本の中に入ってこなかったという指摘もあります。
6番目は、学生支援GPで採用されたプログラムの分析です。学生支援の対象が特定の学生なのか一般の学生なのかという軸と、学生自身がその支援に関わるのか(ピア・サポート)関わらないのかという軸で、4つの象限を作って、採用された学生支援GPが、それぞれ4つのタイプのうちどれに当たるのかというのを検証して、その中身を検討しています。その中で一番多いのが、一般の学生を対象にし、学生も支援にかかわるというものです(25件)。学生支援GPに採用されたものの傾向として、特定の困難な学生を対象とするのではなくて、一般の学生を対象にし、しかもピア・サポートがあるという、そういう取組が一番多く採用されていたという分析がなされています。
第6に、教員と職員の協働ですが、大学の教員と職員が全く同じになってしまっては意味がない、それぞれの持っている特質を明らかにし、協働すべきと論じられています。
このように、今の時代の学生支援の重要な指摘がこの研究報告の中にありますので、紹介させていただきました。

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