子どもへの保護者からの心理的虐待について

 子どものいじめ問題で、最も悲惨なのは子どもの「いじめ自殺」であろう。自殺した子ども遺書の分析などから、仲間内の凄惨のいじめの実態、親の思いや嘆きなどが伝わってくる。親は、教師や教育員会の対応の遅れや自己保身に怒りを感じることも多い。

 9月14日の朝日新聞朝刊の記事「親に『気持ちわかる?』 自殺考える子、ネットに残された声を聴くと」を読むと、少し意外な結果が報告されていた。

<(自殺した子どもの)最も多かったのは「保護者からの心理的虐待(疑いも含む)」で26.0%。虐待以外の「保護者との関係」も9.7%あった。学校関連では「学友との不和(いじめ以外)」が16.3%、「いじめ」が12.7%だった。 同様の項目は文科省の統計にもあるが、いずれもオンライン掲示板の分析結果より数字が低い傾向だ。23年度は「家庭不和」が16.4%、「父母等の叱責(しっせき)」が10.6%。「友人関係(いじめを除く)」が7.8%、「いじめの問題」が1.8%だった。 調査を担当した医師の半谷まゆみさんは、教員や学校が回答する文科省統計に比べ、オンライン掲示板には周囲が気づきにくい問題も数多く表れると指摘する。 今回の分析で注目するのは「心理的虐待」の多さだ。兄弟姉妹と比較される、毒親に悩まされている、といった投稿が目立ったという。 半谷さんはこれらは一般的に虐待と受け止められにくく、親も自分が悪いとは思っていないものの、子どもは死ぬほどつらいと感じているケースも少なくないと指摘する。>(朝日新聞より一部転載)

小説家は誰の視点から小説を書くのか。生成AIに聞く

加藤幸次先生(上智大学名誉教授)より研究会で「メタ認知」の話を聞く機会が最近あった。メタ認知とは<1970年代に、J. H. FlavellやA.L. Brown によって提唱された認知心理学の用語です。 メタ(Meta)とは「超越した」、 「高次の」という意味があり、認知(Cognition)とはそれが何であるのかを判断したり、解釈する行為です。><教師は教室での子どもの(メタ認知を制限して)学習を完全にコントロールしているのです。①行うべき学習課題、②そのための時間、③そこで使うべき教材、④追及する方法について、小出しして、指示していきます。(全体を見渡すことができず)間違いなく、子どもたちは極めて高い閉塞感を感じているに違いないのです。私たちが目指した授業はこの閉塞感から子どもたちを開放することでした>(加藤教授のレジメからの転載)。

それと、北澤毅氏(立教大学名誉教授)の構築主義に関する著作『「教育問題」はつくられる』(時事通信社,2025)の中に、『「神の視点」からの創作としての「真実」』(37~39頁)という言葉も出て来て(「刑事コロンボ」を例に説明している)、高次の(メタの)視点からものごとを見ることの重要性を教えられた。

そのことで思ったのは、小説家が小説を書く視点はどこにあるのかということである。例によって生成AIに質問してみた。(その回答が正しいということではないが、さらに考える材料にしたい)

追記 チャトGPTに依頼すると関連文献を挙げてくれるが、その文献記述が正確でないことある。今回の記述では 蓮實重彦『物語批判序説』(新曜社)→講談社文芸文庫、丸谷才一『忠臣蔵とは何か』(新潮社)→講談社(H氏からの指摘に感謝する)。

とても感心した本の書き方

本の書き方はいろいろあると思うが、今回、北澤毅・立教大学名誉教授よりお送りいただいた最新刊『「教育問題」は作られる―構築主義的な読み方・解き方』(時事通信社,2025)には、とても感心した。

北澤氏のこれまでの研究の集大成の1つで、内容が素晴らしいという面が第1の理由であるが、同時に、自分の今までの研究の集大成を論文集として出版するのではなく、一般向けに読み易い言葉で書かれたことである。構成も1つの小説のように組み立ててストーリーを考えて、読者がミステリー小説を読むようなる仕組みになっている。同時に注や参考文献も、コンパクトに精選され、読者が構築主義について学術的に学ぶのにも便利になっている。

内容を一部紹介したい。本書は、社会学の「構築主義的な読み方・解き方」を、少年非行、いじめ、発達障害の問題のされ方を、構築主義の視点から論じている。少年非行に関する予言の自己成就やラベリングが、意図しない結果を生む過程やメカニズムがわかりやすく書かれている。発達障害に関しても斬新な鋭い視点が提起されている。児童の定型から外れていると早期に診断され、発達障害のラべリングされた児童が、一斉教育を重んじる日本の学校制度のもとで、個性を抑圧され、障害者にされていくメカニズムが鮮やかに描かれている。それを回避する学校や教育実践も紹介されている。

風の便り83号

毎月1日に辻秀行氏より送られてくる「風の便り」83号は、9月も1日に封書で郵便受けに入っていた。いつもはその便りの綺麗な写真を見ながら、直ぐ自宅の印刷機でスキャンしてPCに取り込みブログに掲載させてもらうのだが、数日前から印刷機に不具合が生じ、スキャンもブログ掲載も出来なくなっている。今月は、魚の話題で、ホッケ,サワラ、カンパチの写真とその魚の特徴が丁寧に紹介されている。

辻氏の風の便りでは、さまざまな昆虫から始まって、いろいろな花、そして飛行機まで、写真入りで詳細な説明がされてきた。今回は魚にまで及んでいる。どうして辻氏はこのように興味が広く博学なのだろうと考えた。辻氏は中学校で理科の教科を教えていたというようなことを昔聞いた記憶がかすかにある。そのせいかもしれない。私には、そのような経験がない。

小中高の社会科について―生成AIに聞く

学校(小中高)の社会科という科目の特質について、生成AIに聞いてみた。

さらに[日本の現在の社会科教育法と社会学、教育社会学との関連について報告してください]。という質問を、知人がGeminiIに聞いた回答を、転載させていただく。