毎月1日に送って下さる辻秀幸氏の「風の便り」は、いつも色彩豊かな写真で彩られている。紙面の構成も工夫されていて感心する。辻氏は若い頃,市川市やその近隣の高校の図書館に勤め、その時広報誌を作成していた経験もここに生かされているのであろう。(以前にも書いたが)、辻氏には市川市の図書館で開催されていた「鑿壁読書会」に、私が大学生の頃参加させていただき、大変お世話になり、私の読書の幅が拡大した(そこで大江健三郎、阿部公房、倉橋由美子など小説をはじめて読んだ)。読書会の仲間といろいろな小説を共に読み、語り合った若い頃の思い出は、今でも鮮明の覚えている。それから半世紀以上の月日が経過しているのに、交流が続いているのがうれしい。その時のメンバーと私が現在も連絡を取れているのは、辻氏を除くと年賀状のやり取りがあるK氏のみである(辻氏とは。数年前に船橋で1度お会いした)。この「風の便りは」その時の数名にのみ送られているようだが、当時の他のメンバーが、このブログで見て、連絡をくれると嬉しい。私の一生の友と思ったTo氏とも20年近く前一度会ったきり連絡が途絶えている。彼が生きているかどうかもわからない。そのように年月は過ぎていく。
国際共通語としての英語
中央教育研究所 報告書NO 103『現代の教育課題を読み解く』の第2章で、加藤幸次・上智大学名誉教授は、 「自分英語(マイ・イングリッシュ)」の世界を創造する―国際共通語としての「日本英語」への扉を開く―」という興味深い論稿を書かれています。その要約を加藤教授は、下記のように書かれています。
<日本人は、いつまでイギリス英語とアメリカ英語を「スタンダード英語」として拝み立て続けるつもりでしょうか。「世界共通語としての英語」は、すでにとっくに、土着化し、多様化しているのです。母語を日本語として育ち、日常生活で母語しか使わない日本人いとって、「スタンダード英語」は遠すぎです。日本はFar Eastに位置します。Farなるがゆえに、スタンダード英語が崇められ、日本人は英語に対してビクビクし、オドオドしてしまっていないか。世界的な会議では、それぞれ“お国訛り”の英語が飛び交っているのです。日本人の耳はその“お国訛り”の英語が聞き分けられないだけのことです。そろそろ、日本人訛りの「自分英語」、日本の文化や思考を反映した「日本英語」づくりを始めるべきではないか。グローバル世界に向かって、堂々と、「自分英語」で自分の考えを発信していくべきでしょう。英語は二の次で、内容が第一です。>(https://chu-ken.jp/pdf/kanko103.pdf)
日本の教育現場の英語教育はどのように行われているのでしょうか。その報告はいろいろなところで行われていると思いますが、ここでは、日本の学校現場に派遣されるALT(外国語指導助手)の国籍別のデータをみておきたいと思います。下記のように、欧米だけでなく、フイリッピン、南アフリカ、ジャマイカ、ベトナムなど、アフリカや中南米、アジア諸国からのALTの派遣も多くなっています。つまり、加藤教授の指摘する「世界共通語としての英語」が、日本の英語教育の(発音)指導者にも浸透していることがわかります。英米の「スタンダード英語」の発音を教えることは不必要と考えられている節(ふし)があります。
<JET外国語指導助手プログラム参加国―JETプログラムへの応募方法については、母国にある日本大使館のウェブサイトをご覧ください。日本大使館、総領事館については外務省のウェブサイトをご参照ください。英語圏出身の(ALT)はJET参加者の多数を占めています。また、非英語圏出身の外国語指導助手(ALT)もいます。令和6年度にJETプログラムは世界51か国から参加者を迎えています。
ALTの参加人数(総計5,373)の詳細はこちら(2024年7月1日現在)
アメリカ合衆国 2,885、イギリス 702、カナダ528、フィリピン共和国 334、オーストラリア連邦264、南アフリカ共和国 181、ニュージーランド170 アイルランド104、トリニダード・トバゴ共和国69、シンガポール共和国51、ジャマイカ45、ベトナム社会主義共和国28 ドイツ連邦共和国20、以下略 https://jetprogramme.org/ja/countries/?utm_source=chatgpt.com
求められるギフテッド教育の具体例
内外教育の「ひとこと」(2024年11月19日)に書いた短い文章(「資質とその教育 」)を、知り合いの大学教員が、学生に読ませその感想を書かせたものを送ってくれた。その教員の授業でのいい説明もあったのかと思うが、私の書いた趣旨をよく理解し、それへ感想をきちんと書いてくれたものが多く、感激した。
私が言いたかったことの1つには、宮城まり子の「ねむの木学園」の例も紹介し、「今日本では特別支援や多文化教育で、一般に欠けている能力を補う教育支援は盛んに行われるようになっている。しかし、逆の特異な才能や資質を伸ばすギフテッド教育は、あまり注目されない」がある。それを私は一般的に述べただけであるが、その必要性を裏付ける具体的な事例を書いてくれる学生までいて(下記に転載)感心した。
<私の弟は知的障害を伴う中度の自閉症の子なのですが、集団行動が不得意であることが原因でその子の持つ本当の才能に気付いてもらえず、私たち家族はいつも残念な気持ちでいます。この子は見たことがある鳥や植物は全て記憶しているし、電車の時刻表や種類も考えれないくらい多くのものが頭に入っています。それに人の悪口を言ったことがことのない優しい純粋な子どもです。日本の一斉教育は集団行動が出来なければ浮いてしまい、「出来ない子」として見られます。でもその「出来ない子」にも他に秀でたものがあることを、自分が教師になった時にちゃんと分かっている人でありたいと思いました。>
電子書籍の時代
内田樹氏の最近のブログ(tatsuru.com)に本の整理に関することが書かれていて、「本を送ってくれる人は電子書籍で献本してほしい」という趣旨のことを述べていて、衝撃を受けた。紙の本や報告書に関して、考え直さなければならない時代なのかもしれない(一部、転載する)
「書斎の床を埋め尽くす書物や書類を1時間ほどかけて片づけた。処分できたのは雑誌などごく一部で、大半の書物は横移動しただけである。それでも歩くためのスペースだけは確保できた。 これらの書物のうち自分で買ったものはたぶん3割くらい。あとは献本である。(中略)「これからはペーパーレスの時代だ」とさかんに言われた時期があった。でも、最近誰も言わなくなった。ペーパーレスは不可能だということに気づいたのだろうか。(中略) 電子書籍はいろいろと難点があるけれども、とにかく所蔵するのに空間を要さない点が卓越している。探す手間も要らない。検索すれば必ずみつかる。書斎にあるはずの書物ははしごを架けても床を這いまわってもみつからない。結局ネットで買うことになる。そしてそれが届いた頃に探していた本はみつかるのである。時間と手間の節約という点では圧倒的に電子書籍がすぐれている。でも、電子書籍で献本してくれる人はいない。誰かそういうサービスを始めてくれないだろうか。」(「ペーパーフルな時代」tatsuru.com内田樹の研究室2025-02-22 4)
ソーシャル・キャピタルと学校教育
「現代の教育課題を読み解く」の第14章に、新井郁男・上越教育大学名誉教授の「ソーシャル・キャピタル形成と生涯教育―コミュニティの再生に向けて」という興味深い論稿が掲載されている。そのソーシャル・キャピタルに関しては、下記のような説明がある。
<ソーシャル・キャピタルは物的な要素ではなく、relationships,すなわち人々の間の関係性に注目した用語として使われており、 社会関係資本と訳されている。すなわち、物ではなく人に注目した概念である。ソーシャル・キャ ビタルは、 個人と個人、あるいは集団と集団の関係性に着目したものであり、それは経済成長というより社会全体の維持発展の視点からで考えられて概念である。 教育との関連 でいうならは、 ソーシャル・キャ ヒタルは、個々の人の知識や技能の習得・向上だけでなく、人間関係力とでもいうべき能力の育成を重視した概念であり、社会のありかたとしては、 コミュニティの重要性 に注目した概念といって いいであろう。>
そこで、生成AIに、「ソーシャル・キャピタルの観点から、家庭、学校、地域社会、企業が、子どもや人間を育てる上で、どのような要素を備えればいいと思いますか?」と質問した。以下その回答を掲載する。
ChatGPT:ソーシャル・キャピタルの観点から、家庭、学校、地域社会、企業が子どもや人間を育てるために備えるべき要素を考えると、信頼・ネットワーク・規範の三つの柱が重要になります。これらが機能することで、個人だけでなく社会全体の維持発展が促されます。/1. 家庭の役割:①信頼の基盤と規範の形成―安定した信頼関係の構築:親子の信頼が、他者との関係を築く基礎となる。安心して挑戦できる環境を整えることが重要。②多様な人間関係の経験:親の友人や親戚との交流、異世代間の関係を通じて、社会的ネットワークの重要性を学ぶ。③倫理観や規範の伝達:「人に親切にする」「約束を守る」といった価値観を日常生活の中で身につける。/2. 学校の役割:①協働の経験とネットワークの形成―協力や対話の機会を増やす:グループ学習や課題解決型学習(PBL)を通じて、他者と協力する力を養う。②異なる背景の人との交流:地域の高齢者や企業との連携、留学生との交流など、多様な人々との関係性を経験させる。③学校全体での信頼関係の構築:先生と生徒、生徒同士が安心して意見を言える環境をつくる。/3. 地域社会の役割:①多様なつながりを提供―「顔の見える関係」を増やす:祭りやイベント、ボランティア活動を通じて、世代を超えたネットワークを築く。②学校との連携:地域の大人が学校行事や授業に関わることで、社会全体で子どもを育てる仕組みを作る。③安心して関われる場の提供:地域の図書館や公民館など、気軽に集まれる場所を充実させる。/4. 企業の役割:ソーシャル・キャピタルを活かした育成,①インターンシップや職場体験の提供:働く大人との接点を増やし、実社会のネットワークに触れる機会を作る。②ワークライフバランスの重視:家庭や地域活動に参加できる余裕を持たせることで、社員が社会関係資本を築きやすくする。③地域貢献活動の促進:企業が地域の学校や団体と連携し、社会の一員としての役割を果たす。/結論-ソーシャル・キャピタルを活かした社会を築くためには、信頼関係を基盤とし、多様な人々と協働しながら学び、貢献する場を増やすことが鍵になります。家庭・学校・地域・企業がそれぞれの役割を果たしながら連携することで、持続的な社会の発展と個人の成長が両立できるはずです。
Bing チャトの回答―ソーシャル・キャピタルの観点から、家庭、学校、地域社会、企業が子どもや人間を育てる上で重要な要素を考えると、以下の点が挙げられます:/家庭-信頼関係の構築:親と子どもとの間で信頼を築くことが、子どもの精神的な安定や自己肯定感の向上に繋がります。コミュニケーション:日常的な会話や対話を通じて、子どもの考えや感情を理解し、サポートすることが重要です。共同活動:家族で一緒に過ごす時間を大切にし、共同で活動を行うことで絆を深めます。/学校-協働学習:グループワークやプロジェクト型学習を通じて、他者との協力やコミュニケーション能力を育てます。関係構築:教師と生徒、また生徒同士の信頼関係を築くためのプログラムや活動を推進します。多様性の尊重:異なる背景や価値観を持つ人々との交流を通じて、包摂的な社会性を育てます。地域社会-コミュニティ活動:地域のイベントやボランティア活動に参加し、地域との繋がりを深めます。ネットワーキング:地域のリーダーやメンターと繋がりを持つことで、子どもや若者の成長をサポートします。公共施設の活用:図書館やコミュニティセンターなどの公共施設を活用し、学習や交流の場を提供します。/企業-インターンシップ:学生や若者に実際の職場体験を提供し、社会人としてのスキルやマナーを学ぶ機会を提供します。メンタリングプログラム:社員がメンターとして若者をサポートし、キャリアの助言や人間関係のアドバイスを提供します。社会貢献活動:地域社会との連携を深めるための社会貢献活動やボランティア活動を推進します。/これらの要素を組み合わせることで、ソーシャル・キャピタルを高め、より良い社会関係を築くことができるでしょう。
Deep seekの回答―ソーシャル・キャピタルの観点から、家庭、学校、地域社会、企業が子どもや人間を育てるためには、以下のような要素を備えることが重要です。/信頼関係の構築:-家庭、学校、地域社会、企業の各レベルで、メンバー間の信頼関係を築くことが必要です。特に子どもに対しては、周囲の大人たちが信頼できる存在であることが重要で、これが成長や発展を支える土台となります。/コミュニケーションの促進:-開かれたコミュニケーションが可能な環境を整えることが重要です。家庭内では親子間の対話を大切にし、学校や地域では異なる背景を持つ人々との交流を促進します。企業も、社員同士のオープンな対話を推奨することが、コミュニティを強化します。/支援と協力:-各構成要素は、それぞれが持つリソースを活用し、子どもや個人を支援するために協力し合うことが大切です。学校が地域社会との連携を強化し、地域のイベントに参加することで、子どもたちの社会参加を促進します。/多様性の尊重:-多様な価値観や背景を持つ人々が一緒に活動し、理解し合う場を提供することが重要です。特に学校や地域社会では、異なる文化や考え方に触れることで、子どもたちの視野が広がります。/教育機会の提供:-知識やスキルを習得できる機会を積極的に提供することが求められます。地域の学校や企業が連携して、ワークショップやボランティア活動などを通じて実践的な学びを提供することが重要です。/コミュニティの参加と帰属意識:家庭や学校、地域社会、企業が、子どもたちにコミュニティの一員であるという帰属意識を持たせることは重要です。地域イベントや学校行事に参加することで、子どもたちは自分が大切な存在であると感じることができ、社会的なつながりを築くことができます。/ポジティブなロールモデル:-大人たちが子どもたちにとっての模範となり、良い人間関係の築き方や社会的な責任感を示すことが重要です。特に教育者や職場の先輩は、子どもたちにとっての重要なロールモデルとなります。/これらの要素が組み合わさることで、ソーシャル・キャピタルが強化され、子どもたちが健全に成長し、社会に貢献する能力を持つ人間に育っていくことが期待されます。
学校におけるソーシャル・キャピタルの効果的戦略(Bingチャトの回答)
Q.What are effective strategies for building social capital in schools?
A. Building social capital in schools can significantly enhance the educational experience and community engagement. Here are some effective strategies:/1. Encourage Collaborative Learning Group Projects: Facilitate group assignments that require students to work together, promoting teamwork and communication skills. /Peer Tutoring: Implement peer tutoring programs where students can help each other, fostering a sense of responsibility and cooperation./2. Foster Inclusive Environments Diversity and Inclusion Programs: Create programs that celebrate diverse backgrounds and encourage inclusivity among students.Anti-Bullying Campaigns: Implement anti-bullying initiatives to ensure a safe and supportive school environment./3. Promote Extracurricular Activities Clubs and Organizations: Encourage students to join or create clubs and organizations based on their interests, providing opportunities to build relationships outside the classroom./Sports Teams: Support participation in sports teams, which can help students develop teamwork and leadership skills.