「第30回学校社会学研究会」で、印象に残ったこと

今回の「学校社会学研究会」の発表は、私にとって、テーマ、内容とも、興味ぶかいものが多かった。印象に残っていることを書きとめておこう(人により印象に残ったものは違うので、これが、発表内容のメインというわけではない)

1 仙台のような大きな地方都市の高校生は、その地域・地方にある国立大学に入学することで満足し、大都市を目指さない。周辺地域の生徒の方が地元を離れ、その理由を表明する(桑原)。
2 「規律訓練型権力」と「生―権力」の2つがある。後者は、人と人とを関連づけたりする権力を問題とする。権力は我々の内側から導きだされる存在である。(大倉)。
3 ・大学が資格色を薄め、学術系への方向転換をした瞬間、入学者が激減する場合がある。・リメディアル教育と初年次教育は全く別物という議論が横行している。・学生の就職率を出す時、何を分母にするのかが議論になる。在学者数ではなく就職希望者を分母にすれば、就職率は高くなる。・大学の情報公開で、正規就業の数を報告するように義務づけられたが、こればさまざまな問題を生じている。・大学の情報公開が強いられる中、大学の情報を隠さずに出すことにより、大学のよさを提示することができる。(定員割れで少人数教育。退学者対策で、きめ細かい教育指導等)(鷲北・児玉)
4 ・学生調査の複数データセットを作り、分析することの意義は大きい(時点間の変化がわかる。学生の申告と実際の行動を結び付けられるなど)。・大学の授業評価は、多くの科目を答える学生(1年生に多い)と少ない科目に答える学生(4年生に多い)の合算で、偏りが生じている(佐野)。
5 中学校教師の10年前と現在の空き時間を比較すると、1週間に10コマの空き時間から5コマの空き時間に減少し(学校週5日制の為)、さらに、不登校生徒や特別支援生徒の増加、保護者の変化、電話や従居の変化(不登校の生徒宅に電話しても着信拒否、不登校の生徒のマンションを尋ねても入り口で入れないなど)などで、教師に多忙でストレスが溜まっている(鈴木)
6 大学フットボールは金のなる木である。アメリカや日本の大学では、スポーツが盛んで、教育のロジックとスポーツのロジックとビジネスのロジックが、対立している(白石)。

大阪・梅田を楽しむ

1 東急インの朝食バイキング
   なかなか美味しかった。
2 近松曽根崎心中 神社
   ビルの谷間にあった。
3 空中庭園展望台(http://www.kuchu-teien.com/observatory/index.html)
 大阪が全方向見渡せる景色のよい展望台。伊丹空港にゆっくり降り立っていく飛行機も見える。ゆったりした時間が流れ、カップルで行くのに最適な場所のようだ。

大阪・梅田で研究会

今日(23日)、明日(24日)は、学校社会学研究会第30回大会が、大阪の梅田の関西学院の教室(14階)で、開催され、それに参加中である。
内容の濃い発表と議論があり、何年ぶりかで会う研究仲間もいて、有意義で楽しいひと時を過ごしている。

敬愛グループ 教職員合同研修会(その2)

午後は分科会で、大学・短大、大学職員は、東京大学の小林雅之教授の「大学改革の動向と大学改革実行プラン」という講演を聞いた。

聞き応えのある内容で、好評だったようだ。学長はじめ、いろいろな方から、お礼が述べられていた。

<世界の動きの中で、中教審が政策答申をしてきているかなど包括的かつ細部の説明も交え、大いに勉強になりました。>
< 聴き手が大学の教員だけでなく短大も一緒で、さらに両者の職員もという状況でしたので、ご準備も大変だったことと推察いたしますが、おかげさまで皆様に大変好評でして、私自身もいろいろと勉強になりました。 大学改革というと、どうしても目先のこと(たとえば、受験生をふやすにはどうしたらよいかなど)ばかり議論されがちですが、大学の置かれている内外の大きな流れもきちんと把握しておく必要性を強く感じました。 また、現在、本学では、学生部が中心となって奨学金の見直しを行っており、後半部分は大いに参考になったようです。>

敬愛グループ 教職員合同研修会

昨日(8月21日)に、「平成24年度千葉敬愛学園・長戸路学園・教職員合同研修会」が開かれ、関係者が一堂に集まり研修が行われた。同じ学園の高校(4校)、短大、大学の教職員が集まっての年1度の研修である。現在、定員をオーバーしているところ(短大等)もあるが、学園全体としては、定員割れを起こし、学園全体に危機意識が広がっている。
午前中の、教育情報サービスの佐藤伴子さんの「生徒の進路選択を真に応援する情報力とは」という講演があり、いろいろ教えられることが多かった。印象に残ったことを書きだしておこう。

・敬愛グループの高校の学校紹介パンフレットがひどい。時代遅れで、センスがなく、読む中学生のことを考慮していない。いまどき、こんな堅い顔、姿勢をした高校生はいない。予備校のパンフレットようなものもある。これでは中学生が入学する気が起こらない。
・北海道の札幌西高校(http://www.sapporonishi.hokkaido-c.ed.jp/)、千葉では千葉黎明高校(http://www.reimei.ac.jp/)のHPが優れている。参考にするといい。
・高校に特進クラスがあり、国立大学やブランド大学に何名入ったということをメインにしたパンフレットは、古すぎる。専門学校に対する扱いがひどすぎる。もっと、この高校に入ると、このような楽しい高校生活が送れるということがわかるパンフレットにすべき。
・生徒のことを第1に考える。池袋西武デパートでは、平日はOL向け、土日は埼玉の田舎から出てくるおばさん向けに品ぞろえを変えている。そのくらいのことを学校=教員はすべき。
・今の社会はいろいろな人がいて、若者が社会に出て行くのに大変になっている。そこで生き抜く力を高校時代につける。
・人を人と思わない業界の離職率が高い(IT業界、飲食、外食、宿泊業界)。
・今、千葉県の私立高校では、学校紹介が業者任せになっているところが多い。それに多額のお金をかけている。もっと、学校の先生が工夫していろいろなことをやった方がいい。
・教員がその学園に愛着を持ち,一丸となっている学校が伸びている。学校を安定が確保された職場と考え、努力しない教職員は去った方がいい。
 ・リーダー、チャレンジャー、フォロワ―という3種の人間がいる。考える力のないフォロワ―だけの学校は衰退する
・昔からやっている方法を、安閑と繰り返すのではなく、他の都道府県の情報を集め、時代の流れを掴み、よいものはどんどん取り入れる。
・他に合わせるのではなく、自分の得意な分野を伸ばす。敬愛グループには伝統があるのだから、その伝統を生かす。高校4校が協力する。グループの他校でいいことは、取り入れる。

以上のように、高校の先生向けの内容の話が多かったが、大学にも当てはまるところがあり、参考になった。