村上春樹の小説と文体について

文学のことは素人だし教養もないのでよくわからないが、好きで読んでいる村上春樹の特質は何だろうと時々考える。
大江健三郎が、村上春樹について、下記のように言っていた。

By way of comparison, Murakami Haruki writes in Japanese, but his writing is not really Japanese. If you translate it into American English, it can be read very naturally in New York. I suspect that this sort of style is not really Japanese literature, nor is it really English literature.

村上春樹の小説は海外で大変な人気だが、日本の文学者からの評価はきわめて低い。大江健三郎も、村上春樹の文章の英訳はニューヨーカーが自然に読めるが、それは日本の文学ではないからだと言っている
村上春樹自身も、最初の小説を最初に英語で書きそれを後から日本語に訳して出した、そうすると余計な装飾が削ぎ落されシンプルな文章になり、以後それが自分の文体の基調になったと言っている。

最初、ニューヨークで発刊され、その後同じものが日本で出た本『めくらやなぎと眠る女』(新曜社2009年)を今、英語と日本語で読んで、村上春樹の文体について考えている。
その中に収録されている A“poor aunt ”story (「貧乏な叔母さんの話」)などは、文章は簡単ながら、これは何を比喩しているのかよくわからず、とまどう。村上春樹はむずかしい。
評論家の加藤典洋氏によれば、(「貧乏な叔母さんの話」は)「いわゆるプロレタリアートと呼ばれる「貧しい人々」への観念的な後ろめたさの感覚をいつまでも失わないまま豊かな社会の到来に際会した一人の青年の、奇妙な観念的脅迫と、それからの解放を描いた短編である」(『村上春樹は、むずかしい』(加藤典洋、岩波新書、56頁)。という明快な解釈を読んで、やっとわかる程度。

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