学校社会学研究会 第33回大会のお知らせ(再掲)

どなたでも参加可能です。

日 時 2015年8月28日(金)~29日(土)

場 所 放送大学・セミナーハウス 会議室 (千葉市 美浜区若葉2−1)

参加費    500円  懇親会費  3000円

828日(金曜日)受付 13時~   発表

① 13時30分〜14時20分  西徳宏(大阪大学大学院

「『効果のある学校』の教員文化」

② 14時30分~15時20分  松尾知明(国立教育政策研究所)

「コンピテンシーに基づく教育改革とは何か」

③ 15時30分~16時20分  児玉英明(京都三大学教養教育研究・推進機構)

「教養教育の原理像に関するリメディアル・プログラム-映画を活用した双方向型授業-」

④ 16時30分~17時20分  坪井龍太(東洋英和女学院)

「大学基礎教育としての法教育の在り方と今後の展望について」

⑤ 17時30分~18時20分  武内清(敬愛大学)、他

「現代の学生文化と学生支援に関する実証的研究」

懇親会 19時~21時(泰山停)

829日(土曜日)

⑥ 9時~9時50分  白石義郎(久留米大学)。

「友情、闘争、勝利の部活物語(2):コーチング」

⑦ 10時~10時50分  高木誠一(国際武道大学)

「幼児における就学前学力の階層差に関する事例的検討」

⑧ 11時~11時50分  野崎与志子(早稲田大学)

「日本の大学生の留学経験:インタビュー調査から」

⑨ 12時~12時50分  岡崎友典(放送大学)

「清水義弘の『試験』を読む」

総会 12時50分~13時、昼食

⑩ 15時~16時  小林茂雄(放送大学修士修了生)

「学校を核としたふるさとづくりの在り方--学校と公民館との連携を通して-」

⑪  16時15分~17時15分  東利子(放送大学修士修了生)

「『福井市の多文化化と地域住民の交流』に関する研究」

幹事  岡崎友典 (放送大学)  武内 清 (敬愛大学)

Tさんの入院日記

人生は、いろいろなことが起こり、足踏みすることがある。本人にとってそれは大変辛い体験だが、そこで見えるものは、社会や人生の本質をついていて、人の心を打つものがある。最近、骨折して入院手術した後輩のTさんの体験を、本人の了解を得て、掲載させていただく。 

Tさんの入院日記

○台風接近の夜、通勤の帰路で駅のホームで転倒し、実質的に初めて救急車に乗った。そこで即入院。右膝と右足首を骨折。○けがをした翌日に、3時間にわたる手術。局部麻酔なので、全部聞こえた。BGMが流れていて、’70年代・’80年代のJ-POPが流れていたのが印象に残った。○けがの当日・手術当日は気が張っていた、まだ訳が分からない状態であったが、その後2,3日あたりが最も精神的に厳しかった。1日数回は、気がつくと涙が出ていた。入院11日目で、強引に2時間だけ一時帰宅した。これでかなりホッとした。○3週間と3日、入院していた。人生で初の「重傷」「入院」。○突然日常と遮断されて最も思ったのは、次の2つ。・大学教員というのは、何だかんだいって普段はかなり頭を使い、権力を持っていると改めて実感した。「看護師がそれぞれ食い違うことを言っている」と理詰めで論破しようとしたくなる、・「財布とICカードをほとんど使わない」ということ。欲しいものは、家族が買って持ってきてくれる。市場経済から切り離されるのは、「変な気分」。○入院者の大半は高齢者。「独居老人みたいな人は、食事が出て、ケアがある、こういうところがいいのかもしれないな」と勝手に思ったりした。○看護師さんは、かいがいしくお世話してくれたが、意外と世間知らず、多面的・立体的に考えるのは慣れていないようだった。「基本的には医師に従う立場」「自分の言動に責任を取りたくない」ということであろうか。○「猛暑の中、エアコンが効いたところにいられていいじゃないですか。」という見舞者の言葉が一番堪えた。精一杯励まそうとしておられるのがわかるだけに、余計に切なかった。○「右脚以外は病気でないのに、病院から出たくても出られないんだ。記録的な暑さを味わってみたい・・」と思った。○入院中はヒマなので、TVをかなり長時間見ていたが、ニュースやワイドショーや色々な番組、CMも含めて、はっきりした前提があることが分かった。「夏(休み)は、海や山や都市の非日常空間(USJなど)に行って、いつもと違う楽しいこと・記念となることをすべきだ!」という前提が、強烈に存在した。それが出来ない身からすれば、暴力に感じた。昨年の夏までは、大なり小なり自分もそう思っていて気付かなかったが、それが出来なかった今年の夏はよくわかった。やはり弱い立場にならないと、こういう「社会的な暗黙の前提」には気付かないということか。けがに関係することは、次の通り。○最初は車いすの動かし方すらわからない。トイレに行くためにナースコールする。床に物を落としても拾えない。当たり前のことが出来ない不便さを実感。○道徳教育や特別支援教育において、肢体不自由の方などについて扱ってきたが、いかに上から目線やきれいごとしか言ってなかったことに気付いた。極端な経験主義はよくなく、私が障がい者になったわけではないので二重にまずい言説になるが、やっぱり車いすや松葉杖に頼る生活をして、はじめてわかることはあった。○TVに映っている人を見ると、「みんなこの人たちは2本脚で立てるんやなぁ」とすごい疎外感を感じた。○「折れる」「割れる」「粉砕」「台風」など、自分のけがと関連するワードにすごく反応する。自分が使わないのはもちろん、極力聞きたくない。(Tさんからのメールより転載)

 

 

 

 

オール敬愛(学園)教職員の研修

毎年、敬愛学園(大学、短大、高校、幼稚園)の全教職員向けの研修が開かれる。それが、今年は8月22日(金)に開催された。毎年のことであるが、長戸路学園長の少し辛口のピリリとした挨拶(講演)から始まる。今年は、基調講演、パネルディスカッション、部会ごとの研修(大学部会はアクティブラーニングについて)と大変充実した内容で、学ぶところが多々あった。

基調講演の日経新聞編集委員・横山晉一郎氏の講演内容が「大学入試改革の行方」と題して、今の「大学入試改革の動き」を、「大学改革」や「高大接続」そして「学習指導要領の改訂」とも関連させての丁寧にわかりやすく、またジャーナリストとしての鋭いコメントが付され、とても感心した。

その他、明石要一・千葉敬愛短大学長のパネルの司会や部会での講演もさすがと思わせるものがあり、他の講師からも、貴重な話がたくさん聞けた。大学部会では、森島経済学部教授の指導のもと、教員が各自アクティブラーニングの授業案を持ち寄り議論し、ワークに参加し、教員同士の交流と多くの学びがあった。

学んだことを、ランダムムに、あげよう。

・大学改革には3つのポリシーがある。①ディプロマ・ポリシー(学位授与での方針)、②カリキュラム・ポリシー、③アドミッション・ポリシー

・(新)学力の3要素。①何を知っているのか(知識、技能)、②それをどう使うか(思考力、判断力、表現力)、③社会とどうかかわるのか。

・入試の3層構造.①高等学校基礎学力テスト、②大学入学希望者学力評価テスト(希望者)、③個別試験

・将来の予測のつかない社会で、これからの子ども達に必要なのは、知識の量ではく、自ら問題を発見し、他者と協力し解決していく為の資質や能力(学力の3要素)

・新学力観が先にあり、それに合わせるように大学入試改革が手段として考えられている。

・高大接続は、私立にとっては、生徒・学生の学力レベルを上げるチャンス。大学付属の高校の人気が高まっている(これは、不確実な大学入試への防衛策でもある)

・大学入試改革は、エリートの大学の問題。また国立・公立大学中心に考えられている。ノンエリートの私立大学にとっては、18歳人口の減少期にどのように学生を確保するかの方が急務。

・新大学入試テストは、センター試験の経験、実績をどのように受け継ぐのかが課題。

・1点刻みの合格、不合格の改革―1点の差のところに多くの受験生がいるーだからといって10点刻みにしたところで、合否のボーダーのものは同様に出るし、かえって、合否の差が広がる(20点合格、19点不合格→15点まで合格;20点でも15点でも合格ということは5点の差が意味がなくなる)

・2年生の秋に行われる高等学校基礎学力テストは、単なる学力テストでなく入試に使われるのであれば、高校2年生の文化祭準備や部活動が不活発になり、高校教育への影響は大きい。

・学力以外の面接等重視の入試は、お金をかけて塾や予備校で学べば、ノーハウが身に付き、かえって、経済格差が広がる。一発勝負の入試の方が、公平。

・15分の面接には、事前にノーハウを学べば乗り切れるが、30分の面接には人間性が出てしまう。それは、言葉と体験に裏打ちが出る。

・入試の公平と公正は違う。入学枠の入学数を決めるアメリカの大学のアファマティブ・アクションは、公平ではないが、公正である。

・教師自ら「学ぶことは楽しい」という心性・姿勢を持ち、それを生徒・学生に示すことが必要。忙しさを理由に学ぶ姿勢を失った教師から子どもは学べない。

・教育で大切なのは、「基礎・基本」と「こだわり」(興味)

・学びは、一つの課題が学び終わるとそこがゴールではなく、次の課題が生まれることである

・クローズエンドの教育(答えが見つかれば終わり)と、オープンエンド(答えがなく、新たな課題が湧き、それに向かう教育)がある。・授業の到達目標を定めることは、子どものモチベーションを高める効果がある。

・研究室に籠る、教壇から降りない大学教師に問題がある。大学教師は研究室から出て(あるいは研究室を開放し)、教壇から降りて学生の中に入っていかなければならない(学生の名前は、当然全員覚える)

・教職協働が必要―選手とコーチの協働のように。

・大学から高校への出前授業で、「学ぶ楽しさ」を高校生に体験してもらうことにより、その大学学部への進学を選ばせる方法(AO)が、成功している大学がある。

・市町村で、教育に特化した、税金や寄付を集め、それを有効利用しているところがある。(大学でも、同じような試みはある)。

 

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Shinya talk

 ここでもたびたび紹介しているが、藤原新也には、会員制のサイトCatwalkがあるが、それ以外にShinya talk という公開のブログがある。Catwalk のトークで書かれたもののうち10分の1程度が、公開ブログに転載される。それが、どのような基準で選ばれているのかわからない。

 今回(8月18日)、久しぶりに転載があり(前回は7月14日)、五輪のエンブレム問題。マスコミで言われていることとまったく違った視点(「世界には民族色という観点がある」)を提示していて、感心する。

 http://www.fujiwarashinya.com/talk/