学士課程教育のシンポ

昨日(30日)は、国立教育政策研究所の第27回教育研究公開シンポジウム「学士課程教育の構成と体系化」を聞きに行った。場所は、新しくできた文部科学省講堂。
会場は満員の300名近くの聴衆がいて、今中教審で審議されて、大学に大きな影響を与える「学士課程教育」への関心の高さを伺えた。
シンポの企画は、塚原修一氏、登壇者に金子元久氏、川嶋太津夫氏など、教育社会学者が多く、すんなり理解できる内容だったが、その分既知のことが多くもの足りなさもあった。
文部科学省の審議官も含め、登壇者に気負いがなく(別の言い方をすれば、偉ぶっているところがなく)好感がもてたが、もう少し報告に準備がほしいと思った。(国研のシンポに、こんなに人が集まるとは思わなかった、という主催者側の雰囲気も感じられた)
これは教育社会学の研究者には見られないが、中教審答申の内容はあたかも前提(正しい)という立場での説明もあり、これには辟易する。

古本屋、本屋のこと

最近は、神田の古本屋街に行くこともなくなったし、通りがかりに「古本市」が開かれていても覗くことがなくなった。興味ある本に出会わなくなったのか、それとも私の興味が減退したのか。また本屋に行くことも少なくなった。ほしい本があると、アマゾンで注文してしまう。
一 昨日(29日)、たまたま近くの「ダイエー」のモールで古本市をやっていて、かなりの古本がならべられていたので、のぞいてみた。読みたいと思った本は2 冊あった。Ⅰ冊は漫画家のつげ義春の日記で、もうⅠ冊は、ジェンダー批評の本である。前者は1500円するので諦め、後者の550円の本を購入した。
題 名は、斉藤美奈子編『男女という制度』(岩波書店、2001年)。題や装丁はぱっとしない本だが、読んでみると、なかなか面白い。斉藤美奈子や小倉千加子 はじめいろいろな人が書いているフェミニズム批評の本で、「少女小説」の分析や「赤毛のアン」の分析、「日本語とセクシュアリティ」など、読ませる文章が 満載の本である。アカデミズムの厳密さより、素人の感性に基づいて書かれている点がいい。中でも、佐々木由香「「ネカマ」のすすめ」という内容には感心さ せられた。筆者(男)が女に成りすましてネットの出会い系サイトに投稿する(「ネットオカマ」)と、それに反応してくる男達(多分)が多数いる。そのメー ルを分析すると、男達のジェンダー意識が鮮明にわかるというもの。その方法と内容に感心した。
世の中には、まだ面白いこと、面白い本がたくさんあるのかも知れない。これから古本屋や本屋をせいぜい覗くことにしたい。