若者言葉について

「青年文化論演習」という授業を、東京成徳大学子ども学部で担当している。今どきの「若者文化」のことは、私が教えるというよりは、学生から私が教えられることが多い。
今日(1月10日)の授業では、発表者が下記のレジメを配り、若者言葉に関する報告があり、教えられることが多かった。
ryなど、若者たちには自明でも、私(そして私の世代)には、はじめて聞く言葉も多い。発表のニュアンスは伝わりにくいが、当日のレジメを、本人の許可を得てそのまま掲載する。それにしても、なんと言葉というのは、状況の中で、生き生き作用していることか。

若者言葉について               宇田川 陽香
1 若者言葉とは
10代後半~30代前半の青少年が日常的に用いる俗語やスラング(特定の社会集団で用いる俗語)等で、それ以外の世代はあまり用いない。最近になって使われ始めたもの、古くからあって代々若者に受け継がれるもの(ex:~っす)がある
2 若者言葉の歴史
 [明治前期]―旧制高等学校や大学の男子学生が、特徴的な仲間内言葉として「書生言葉」を用いた。高等教育機関に通える身分としてエリート意識や教養を誇示するもの。外国語や漢語(ex:僕、君、失敬)、「~したまえ」等が多用され、堅く気取った男性語の原型となる
 [明治後期]―男子学生には、寮生間での隠語的なくだけた若者言葉がうまれた。女子学生には良妻賢母教育や女性らしさに束縛された世の中への反発があり、盛んに若者言葉をつくりだしたり、書生言葉を取り入れる事も。芸妓や下町のこどもの言葉を元に「てよだわ言葉」が広まり、度々非難されたが徐々に一般化し、上品な女性語の原型となる
 [大正時代]―男子学生にはドイツ語由来の言葉が流行。女学校の増加で下町からの学生が多くなった事、学生スポーツが盛んになった事から、女子学生にはぞんざいな言葉遣いが流行
[太平洋戦争直後]―犯罪者や不良の隠語が一般学生の言葉に取り入れられ、男子学生は麻雀やパチンコ用語を使用。女子学生は女性らしさの規範から解放され、ユーモアに富んだ自由な言葉を多く生み出す
[’60年代]―学生運動が盛んになり、観念的な表現や荒々しい言葉遣いが学生間で流行
 [’70年代]―女子学生を中心に、消費文化を反映した表現やノリを重視した言葉遊び的表現が増加
 [’80年代後半]―バブル景気を背景にテンポ良い省略語やウケ狙いの奇抜な表現が多用され、会話は伝達手段から娯楽へ
[’90年代]―東京の一部の女子高生が使う「ギャル語」が世間の注目を集める
3 若者言葉の成り立ち
 ・TVCMやドラマの台詞からの流行語、・逆さ言葉、・ローマ字化した頭文字の羅列(ex:KY)、・誇張表現、・方言、古語(ex:まじ)、・誤用の日常化(ex:「ら抜き言葉」、「さ付け言葉」)
4 若者言葉の例
 [俺様(系男子/男)]おれさま(けいだんし/おとこ)
上から目線の男性。「黙って俺についてこい」タイプで、自信過剰と思われる事も。主に漫画やアニメでは、この様なキャラクタの一人称が「俺様」である事が多い事に由来する。   ex:草食系よりは俺様系じゃね?
 [壁ドン]かべ‐どん。ネットスラング。→蝉ドン
① 壁をドンと叩き、音を出す事。隣室等が煩いとき、抗議の意で行われる。 ②相手を壁に追い詰めて壁に手をやり、逃げ場をなくす事。少女漫画等ではよく俺様系男子が行う。 ex①:壁ドンに壁ドン返すと余計うるせーよな、ex②:壁ドンされたい。ただしイケメンにry
 [ちょっと~してくる]ネットスラング
 何か大きな事を宣言するときに使う。常用では短時間で終わる軽い事をすると伝えるのに使う(ex:ちょっとジュース買ってくる)が、その逆説的な意味をもつ。2ちゃんねる等のネット掲示板のスレッドタイトルに使われる事も多い。  ex:ちょっと吊ってくるわ
 [ヒキニート]ひきにーと。ネットスラング
「引きこもりのニート」の略。家及び部屋から一歩も外に出ないニート。引きこもっていても、株やFX等で稼ぎがある者は投資家なので、これにはあたらない
 ex:そろそろヒキニート卒業すっかな
参考文献:
若者言葉http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%A5%E8%80%85%E8%A8%80%E8%91%89
「若者用語の裏知識http://www2.famille.ne.jp/~maps/kotoba/wakamono.htm
「若者言葉辞典」http://bosesound.blog133.fc2.com/blog-entry-357.html     http://bosesound.blog133.fc2.com/blog-entry-356.html、    http://bosesound.blog133.fc2.com/blog-entry-355.html     http://bosesound.blog133.fc2.com/blog-entry-354.html