新型コロナ危機後の教育

私の住む千葉県でも小中高校はまだ休校が続いている。近くの小学校では、昨日児童の久しぶりの登校日だったようだが、同じクラスの児童でも登校時間をずらして、少人数で担任の先生からの話しを聞いたようだ。大学はどこも遠隔教育が続いていることと思う。

3週間くらい前に「新型コロナ危機の後の教育」という題で、短いコラムの原稿を出した。確か昨日(12日)に発行されていると思うが、日に日に状況が変わる中で、日日(時代)遅れの内容になっていなければいいのだが。

〇 重い病気になった時は、自分にとって何が重要なことなのかに思いをめぐらす。そのような時こそ、本当に大切なものに気が付く。しかし、病気が治り死の恐怖が去ると、危機的状況の時に考えたことは忘れ、もとの便利や功利を求める生活に戻ってしまう。/〇いま新型コロナウイルスの世界的な蔓延で、私たちの日常生活は一変し、重い病気にかかったような状態にある。そのような時こそ、何が大切なのか・何が重要なのかを考えたい。/〇新型コロナウイルスの感染の拡大は、社会の諸分野に影響を及ぼしている。教育の世界への影響も大きい。とりわけ長期にわたり学校が休校になったことは、学校中心の生活を送っていた子どもたちの生活を一変させた。その影響は計り知れない。休校になり授業、遊び時間、部活動、交友関係もなくなり、子どもたちの学習や楽しみが奪われた。そして学びの家庭間格差、社会的格差が拡大している。弱者に皺寄せがいっている。これまで学校が担ってきた教育機能の重要性が、平等性も含めて改めて認識される。コロナ後は、この間に滞った教育機能の補修・回復や格差の是正がまず早急になされなければならない。/〇一方で、自明であった学校教育の意義も問われている。効率優先の一斉授業、興味のわかない教科の学習、生きる力にならない知識、教師のクラスメイトへの叱責を聞く時間、退屈な学校行事、無意味な校則など、無くなってみるとスッキリすることが多い。これまでの学校教育のあり方の見直しが必要である。/〇休校中の家庭での自由な学習、親子関係の親密化、ウエブ学習、地域での遊びの回復など、これまでの学校教育とは違った自由な学習や生活に、本来の興味や活動に目覚めた子どもたちも多いことであろう。不登校やホームスクーリングも見直されていい。/〇黒板とチョークを使っての学校での授業に替わり、家庭での遠隔学習を経験した子どもも多い。デジタルネイティブの今の子どもにとって、デジタルで学ぶことの楽しさは増している。コロナ危機後の教育では、ウエブ学習が家庭でも学校でも盛んになることは必然である。しかし、教育のデジタル化には多くの課題がある。子どもの集中力や深い学びには、ウエブ学習より伝統的な教育(紙と黒板)が適合的という報告もある(デジタル先進県の全国学力テストの得点は高くない等)。/〇コロナ危機は、経済や政治の分野でも大きな変化をもたらし、教育にも跳ね返ってくる。経済的な不況による教育費の削減、危機管理を名目にした超管理社会の到来など。これからは教育力の維持、教育的格差の是正、民主主義の維持などがなされなければならない。