教訓について

教訓とか道徳的項目とかは、ありきたりで、あまり感心したり、好きになったりしないものだが、そのことに思いあたったエピーソドを読むと(あるいは聞くと)、なるほどと思い、心にとめておいていいかなと思うものもある。
大学の語学の教科書のトーマス・マンの「トニオ・クレーガー」の中の一節、「より多く愛する者は負けたものであって、苦しまなければならない」という言葉(教訓?)には、感心したことがある。(ただ、この場合はトーマス・マンの深い思想を理解したわけではない)。
『村上春樹雑文集』(新潮文庫)を読んでいたら、「人は何かに向かってたとえ血の滲むような努力をしても、必ずしもそのことで他人に認められるとは限らない」(423ページ)という言葉と、「他人が自分の悪口を言っている時は、寝たふりをしているのがいちばんなんだ」(424-3ページ)という言葉が、印象に残った。それは、村上春樹の好きなジャック・ロンドンや彼(村上春樹)の体験に基づく教訓だったからであろう。

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故郷の仙台に帰られた水沼さんより、下記のメールをいただいた。仙台でもこのブログを読んでいただいているようで有難い。

「大変な台風でしたね。仙台は夜半に大荒れでしたが今朝は晴天です。昨日「村上春樹雑文集」を読み始めました。ジャック・ロンドンの「野性の呼び声」「白い牙」は私の愛読書ですが、彼の全生涯を語ったアーヴィング・ストーンの「馬に乗った水夫」はロンドンという人間と彼の生涯を知ることができる興味深い本です。今日は山形蕎麦のメッカ、河北町谷地に行きます。ついでに「紅花資料館」も見てきます。(水沼文平)