授業評価について

学生による授業評価というものは、どこでも盛んである。学生消費者主義の時代、「納税者」(授業料支払い者)の意見をきかなければいけない時代に、当然であろう。しかし、いくつか留意すべき点もある。
1 授業評価は大学の自己評価の一環とした文部科学省から実施の要請があるにしても、どの程度の実施をするかは、考慮の余地はあると思う。私の以前に勤めていだ大学では、学部ごとの裁量に任され、私のいた学部では、隔年で教員1科目につき、授業評価ではなく、「授業改善アンケート」がなされていた。
2 学生による「授業評価」に関しては、批判もある。有名なものとして千葉大名誉教授の宇佐美寛先生の『大学の授業』(東信堂、1999)、『大学の授業の病理―FD批判』(東信堂、2004)がある。知識も学習意欲ものない学生に授業の評価をさせるのは無理であり、授業評価により、学生に自分が授業を評価できる[偉い人間]だと誤った認識をさせることになり、教育上よろしくない。大体そのような趣旨であったと思う。一理ある。
3 授業評価の質問項目の中に、学生の授業への出席率や学習意欲を問う質問を入れ、それとのクロスをとり、真面目な学生とそうでない学生の授業評価の違いもわかるようにする必要はあるだろう。
4 授業評価は実施するにしろ、どのような趣旨でやるのか(評価というよりは授業改善の為の方がいい場合が多い)、その為にはどのような実施方法が適切か、その後データの処理(提示方法も含む)の方法も考慮し考えるべきと思う。