大学の遠隔授業について

今、日本の各大学は、遠隔授業で新学期を開講ないしこれから開講というところが多く、大学及び大学教員及び大学職員がその対応に追われている。欧米の大学は遠隔授業のシステムが整備されているのに、日本の大学は遅れていたので、それを整備するのにいい機会になっている。これに関しては、大学差も大きいであろう。これまでデジタル環境をきちんと整えてきた大学とそうでない大学の差がここに来て一気に出る。資金の差も大きいし、人材の差もある。大学職員にデジタルにたけた有能な人がいるところとそうないところでは差が出る。また個々の授業は教員個人の裁量に任される部分が大きいので、最新のデジタルを有効に使って授業をオンデマンドで展開する人と、デジタルに疎く最低限のことしかできない人に分かれるであろう。学生の側もスマホしか持っていなくて、PCやタブレットは自宅になく、Wi-Fiも自宅にない人が一定程度いる。これも大学差があるであろう。

私はもっともデジタルに疎い部類の教員に当たると思うが、この際少しは学んで、遠隔授業をやってみようと思う、幸い敬愛大学では、KCNという遠隔授業のできるサイトが以前からあり、また優秀な職員と教員がいていろいろその使い方やそれ以外の最新の方法を手ほどきしてくれる。私の場合オンデマンド授業をやるまでにはいけないと思うが、パワーポイントに説明の動画を入れる方法は簡単にできるとのことで、いつか試みたいとも考えている。今のところ学生に授業資料をKCNというサイトから提供して、それを読んで質問に答えなさいという、普通の授業でやっていることを、WEBでやっている。場合によっては、教室の授業よりこちらのやり方の方が、学生がきちんと資料を読んでくれるのではないかとも思う。実際はこれからだが、いち早くひとりの学生からしっかりした解答(リアクション)が寄せられ、資料をきちんと読み、的確な文章が送られてきている。私の方からも学生にすぐKCNでコメントできる。

Webによる遠隔授業をすれば、大学は閉鎖して対面の授業をしなくていいのかというと、そうでもないであろう。パワーポイントの授業は理解が上滑りという指摘もあるし、デジタルの学習より黒板とチョークの学習の方が、知識の定着度が多く深いという研究もある。また、さまざまな人の交流のあるキャンパスライフの効用も大きいであろう。いづれにしろ、いろいろな試みをして、その効果をきちんと見ておきたい。

大学のデジタルによる遠隔授業に関しては、いろいろ議論が出ていると思う。それらも注目したい。

<新型コロナで露呈する学生の「格差」問題 – 田中駿介|論座 – 朝日新聞社の言論サイト https://webronza.asahi.com/national/articles/2020041100003.html >