今日の「教育原論」講義内容(6月3日)

今日(6月3日)の「教育原論」(敬愛大学1年生対象)は、2つのことを取り上げた。一つはどのような見方をするかによって、事実(現実)は大きく変わるということ。もう一つは時代によって教育問題や教育研究テーマや方法が変わるということ。

テキストは、『子どもの「問題」行動』(学文社、2010年)の第1章(武内清「子どもの「問題」行動・概説」と第5章(浜島孝司「少年犯罪・非行」)

学生たちには、下記のような質問をあらかじめ考えてもらった。同時に、高根正昭『創造の方法学』(講談社現代新書、1979年)の概念と事実の関係の部分もプリントして配布した。

そして、第1の見方と事実の関係については、警察のスピード違反の取り締まり、万引きの取り締まり、アメリカの禁酒法の前後での飲酒の意味の変化、ことばと文化(日本語のくちびると英語のlipsの指す範囲が違う、水とwaterは違うなど)、予言の自己成就(ピグマリオン効果)などを例に出し、見方(概念、ラベル、認識)によって事実が変わることを説明した。

第2の問題に関しては、藤田英典「教育社会学のパラダイム展開と今後の課題」(「教育社会学」放送大学教材)の主要部分をプリントして配り、同氏の当時(東大助教授)の放送大学の40分間の講義(これは歴史に残る名講義だと思う)をビデオで見てもらった。

学生のコメントを読むと、多くの学生が、今回の講義内容を理解してくれたことが伺える。

教育原論 (6月3日) 最初に考えてほしいこと(リアクション)

1 現代の子どもに問題があると思いますか(第1の見方)、それとも子どもに対する大人の見方や処遇に問題があると思いますか(第2の立場) (テキスト1ページ参照)。   回答→1 第1の立場  2 第2に立場   その理由

3 万引きや占有離脱物横領など軽微な犯罪は、取締如何で数が変わってくると思いますが、それとも、警察は一定の基準で厳密に取り締まっていると思いますか。自動車のスピード違反は、どうですか?(テキスト3ページ) 1 取締如何で変わる  2 場合による  3 一定の基準が保たれている

4 学級崩壊の原因を教師は児童の態度に問題があると考え、児童は先生に問題があるからと考える。同じ現実を見ても、見方が違う。(テキスト6~7ページ)同じ現実を見ても、解釈が違う例をあげなさい。

5 ものや客観的事物(A)と(それを示す)ことばや概念、パラダイム(B)は、どちらが先にあると思いますか。

2 A時代(社会)の変化、B教育の変化、C親の変化、D子ども変化は、どれが一番先を行き、どれが遅れると思いますか。 (テキスト2~3ページ参照)   変化の早い順(    )→(    ) →(    )→(   )

6 時代と共に、教育問題になることは変わり、それへの研究方法も変わって行きます。ビデオ(藤田氏講義)を見た感想を書きなさい。