「個別最適化」について

アマゾンで本を買うと、「その本を買っている人がこの本も買っています。それがお薦めです」という内容のメッセ―ジが届く。ネットフリクスでドラマや映画を観ると、「そのドラマや映画を観た人はこれも観ています。それがお薦めです」という趣旨のメッセージが表示される。このようにAIが、次に読むべき本やドラマや映画を教えてくれる。

今教育界では「個別最適化」とキーワードが話題になっているという。それぞれの子どもが次に学ぶべきことは、上のような原理でICT(AI)が判断してくれるという。子ども一人一人がタブレット持ち、その子どもに最適の内容を次々とコンピューターが提供してくれ、それに従い学べばいいらしい。教師は必要なくなるのではないか。

果たしてそのような時代が来るのであろうか。アマゾンやネットフリクスのお薦めは、多少の参考になるが、それに従うのはせいぜい1割程度のような気がする。デジタル(AI)による教育も、せいぜい多くても2~3割止まりではないかと思う。

上智大学の奈須正裕教授は、次のように述べている(朝日新聞10月6日朝刊から一部転載)

<菅新政権がデジタル化を進め、文部科学省にもデジタル化推進本部ができました。ICT(情報通信技術)を活用した教育の広がりにともない、近年、「個別最適化」という言葉が、あちこちで聞かれるようになっています。コロナ禍の長期休校で、オンライン教育なら個々にあった教育ができるとも言われます。(中略)子どもが、文房具のようにタブレット端末などを使って学ぶことが不可欠な時代です。ただ、ICTで「個別最適化」を進めることには、危うさもはらみます。(長期休校中は、同時双方向やオンデマンドの授業配信など、いわば「遠隔授業」の使い方が中心でした。でも、)個別最適化に注目した時に、特にこれから活用されるのは「AI(人工知能)ドリル」のようなAIを使った学びでしょう。一人ひとりの解答をAIが分析し、次に取り組むべき問題を自動で出題してくれます。(中略)情報を選択するプログラムがどうなっているかは、使う子どもや親、教師には見えない。これって不安じゃないですか。課題は「情報の推奨」です。個別最適化の「最適」を誰が認定するのか。できるだけ情報をフラットに提供し、何がどう「最適」かは教師や子どもが選択する仕組みにするべきではないでしょうか。(中略) ICTは、もっと探究など学びのツールとして、使うことを考えてほしい。>