小中一貫教育について


以前に私立の中高一貫校に対抗して公立の中高一貫校ができて、その是非をめぐって教育社会学者も意見を述べていて、学会でも論議があったように思う。私も県立の千葉高が2クラスほど中高一貫になり、視察に行ったことがある。

最近は、その議論を聞かなくなったと思ったら、今は小中一貫教育が問題になっていることを知った。小中一貫教育に関する法律までできて、いくつかの市町村で先進的な試みがなされているようだ。

「小中一貫教育」というキーワードでグーグルで検索するとたくさんのサイト(文部科学省、国立教育政策研究所、市町村等)が出てきて、戦後の6・3・3・4制の学校制度を改変するというかなり大きな議論になっていることがわかる。ただ、それにしては、あまりマスコミや教育雑誌や学会で取り上げられることがなく、不思議に思う。ネットから基本的なことをメモ(転載)しておく。

1 小中一貫教育とは、小学校と中学校の義務教育期間9年間一貫で行われる系統的・継続的な教育のことをいい、小中一貫教育を行う学校を小中一貫校という。小中一貫教育・小中一貫校の制度上の形態としては、義務教育学校、併設型、連携型がある。

2 2016年4月から小中一貫教育として義務教育学校が制度化された。また同時に併設型、連携型における教育課程の基準の特例が施行されることになった。

3 品川区では、平成18年度から全ての区立小・中学校で、小中一貫教育を実施している。『施設一体型』『施設分離型』の大きく2つのタイプに分けることがでる。

4 4・3・2や5・4といった学年区分が広く多くの学校で取り組まれるようになっている。

5 教育の効果については、中学生の不登校出現率の減少、全国学力・学習状況調査における平均正答率の上昇、児童生徒の規範意識の向上、異年 齢集団での活動による自尊感情の高まり、教職員の児童生徒理解や指導方法改善意欲の高まり等の意識面の変化といった結果が得られている。

  6 小中一貫教育・小中一貫校のデメリットとして、中高一貫教育との整合性が取れない、小学校高学年でリーダーシップや自主性が養われなくなる、人間関係が固定化しやすいなどが挙げられる。中学校の目新しさが失われてしまう。小1と中3は差がありすぎる。中学生の悪い影響を受ける。学年数が増えて施設利用の調整が必要に。小学校卒業の達成感がない・薄れる。小学校高学年のリーダーシップや自主性が養われない。人間関係が9年間固定化しやすい。他の学校に移るときに苦労する。学校が巨大化し目が届きづらくなる恐れ。学校統廃合に利用される恐れがある。

  7 文部科学省(「学校段階間の連携・接続等に関する作業部会」平成24年6月25日)や国立政策研究所(「少中一貫教育の成果と課題に関する調査研究」平成27年8月)や各地区の実践報告が数多くある。

以上から、検討のフレームワークとして、1 人口減少、学校制度といったマクロな視点 2 学校経営の視点―管理職、地域との関係、部活動、進路指導 3 教師の視点―免許、負担増、得意不得意、教師―生徒関係 4 児童・生徒の視点―通学、教科、部活動、先輩―後輩関係、問題行動(非行、いじめ、不登校)などをあげることができるであろう。