自分史

これも歳のせいなのかもしれないが、知り合いの自分史を読むと、とても面白い。人は、定年の時、あるいは定年後に自分史を書き、公表したくなるようだ。

最近読んだものとしては、大学院生の頃、研究会や学会でご一緒したことがある渡辺秀樹氏(慶応大学名誉教授)、今田高俊氏(東工大名誉教授)のものがある(前者は本、後者は雑誌のエッセイ)。若い頃を思い出し懐かしくなると同時に、指導を受けた先生や先輩や同期・後輩に関してまた出来事に関して、このように見て感じていたのかと、自分の見方との違いを知って興味深い。

また、最近知り合った人が出した「自分史」も興味深い。この人にこのような波乱に満ちた人生があったのかと知ることができる。地元の卓球愛好会でご一緒している松井昭男さんから、自費出版の本を見せていただいた。 東北での生い立ち(8人きょうだい)から、学生時代(東北大学)、職業人としての生活(鉄鋼関係の会社)、定年後の生活や旅行(シリヤ、ブラジル、ヨーロッパ、中国、台湾)についていい文章で書かれている。

私自身のものは「7分間スピーチ」(8月28日付けブログに掲載)がそれだし、『学生文化・生徒文化の社会学』(ハーベスト社、2014年)の⒓章(「学生文化への関心」)がそれにあたる。もう少し、きちんとしたものをいつか書いてみたい。

上記に関して、Jさんより、下記のような内容のコメントをいただいた。 

<清水義弘先生も東大定年後、広い意味での自分史的なものをいくつも書かれていました。教育学の分野では、森田尚人先生が「聞き書」で、村井実教授、上田薫教授の2人の回顧録を編纂されています。下の世代の者は、オーラル・ヒストリー研究を進め、先達の貴重な歩みを残し、そこから学ぶ必要があると思います。>

知り合いのKさんより、Kさんが編集を担当したシスターの自分史(近藤節子『出会いに感謝』2014年)を送っていただいた。
写真入りの自分史で、シスターのおらかであたたかい人間性と周囲の人との係わりがよくわかる素敵な作品である。