翻訳の本を読むのが苦手

昔から翻訳本を読むのが苦手だった。
それは何故だかわからない。内容のせいより日本語(訳)のせいのような気がする。どんな名訳でも、やはり日本の作家が日本語で書いたものと何か違うように感じる。

村上春樹の小説の文章(文体)が読みにくいという人もいるが、私はそうは思わない。村上春樹の文章には心地よいリズムがあり、気持ちよく読むことができる。
村上春樹が最初の小説を書いた時、最初に英語で書き、それを翻訳したという。それで村上春樹の文章には従来の日本の小説にない独特のスタイル(文体)が出来あがったという。したがって、村上春樹の文章が、翻訳調だという人がいる。それでも村上春樹の小説には、独特の日本的リズムと味わいがあると思う。
村上春樹は自身の小説の他に、多くの外国の作家の日本語訳を発刊している。その中でもR.チャンドラーの推理小説『ロング・グッドバイ』(THE LONG GOODBYE)は、その作家の文体に惚れ、大変力を入れて翻訳した本である。
さぞかし面白い本だろうと村上春樹訳を購入し,1週間前から読み始めた。しかし、まだ文庫で594頁あるうち131頁までしかすすんでいない。挫折寸前である。村上春樹訳ですらこの状態だから、他の翻訳本は押して知るべしである。
小説でも学術書でも本は、語学を勉強して、原文で読まなくてはいけないのかもしれない。

追記 ただ、上記は確かでない部分もある。村上春樹の訳した本は「ロング・グットバイ」しか読んでいない。「ロング・グットバイ」が自分に合わないのかもしれない。下記の水沼さんからが薦める本を読んでみようと思う。

<私立探偵ものでお薦めしたいものは、ダニエル・フリードマン「もう年はとれない 」「もう過去はいらない」(共に創元推理文庫)、ロバート・B・パーカーの「初秋」「晩秋」(共にハヤカワミステリー文庫)です。レイモンド・ チャンドラーにはいっとき凝りましたが今は読み直す気持ちはありません。今読んでいるものでドイツで出版された「ミルク殺人と憂鬱な夏 中年警部クルフティンガー」(ハヤカワミステリー文庫)、刑事ものですがとても面白いです。>(水沼文平)

追記2 上記に、卒業生のIさんより、下記のメールをいただいている。

<チャンドラーの『ロング・グットバイ』(フィリップ・マーローものの最高傑作)は私はハードカバーで買って、完読しました。「ギムレットには早すぎる」で知られる作品ですね。ギムレットをチビチビやりながら(日本の標準的ギムレットはだいぶ甘いですが)、秋の夜長に飲むのには合っているのでは?ハードボイルドの代表作ですが、原文でエンジョイしながら(←これが大事)読むのはなかなかしんどいですね。すんなり英文の世界に入れれば、しめたものなのですが。ちなみに、ギムレットついでに、カクテルの語源もいろいろ面白いのがあり、スクリュードライバーは以前こんなCMがありました。
https://www.youtube.com/watch?v=cl-m8wE8lRg