齢をとるということ- -新しいものに目がいかない

研究者が書く原稿は、自分が書きたいと思ったテーマや内容で書くものと、外から依頼されて書くものある。優れた(あるいは幸運な)研究者はこの2つが一致しているのかもしれないが、多くはこの2つは乖離している。したがって前者は大学の紀要などに書き、後者は依頼先に書くという使い分けをする場合が多い。

依頼されたテーマの原稿を書くための資料探しや勉強で、自分の視野や知識が深まったという場合も少なくない。しかし、それも齢をとってからは無理かもしれない。高齢になると、昔から馴染みなもの、昔から好きものばかりに目が行き、新しいものに目がいかない。それは、趣味の領域でもいえて、新しい分野に挑戦できない。読む本や聴く音楽についても言えるであろう。

私の場合今短いものだが依頼された原稿があって、締め切りが迫っているので、早く指定された本を読んで感想を書かなくてはならないのだが、なかなかそのことに集中できない。つい、関係のないことに目が行き、時間を潰してしまう。パソコンに向かい、何か文章を書こうと思うのだが、過去のメールを読んだり、誰かのブログを読んだり、you tube を見たりして、肝心の原稿書きが進まない。

昔の教え子がOasisの曲がいいと言っていたので、Oasisの曲をyou tube ではじめて聴いた。もっとハードなロックかと思ったら、ジョン・レノンの曲に似ていて歌詞にも訴えるものもあり、悪くはないと感じたが、何せ昔聴いていないので、すぐには馴染めない。先週WoWowで予告を見た吉田拓郎の方が、昔よく聴いたのでスーと入ってくる。画面の右に、「レ・ミゼラブル」の曲(On My Own)が出ていたので、思わずそちらをクリックして聴いてしまった(「レ・ミゼラブル」は私が唯一海外で観たミュージカルで、音楽も印象に残っている。-「ミス・サイゴン」と「マイフェア・レディ」もアメリカで観たことを思い出したが、音楽は記憶に残っていない)。とてもいい曲と歌手だなと思って、その歌手(上白石萌音)の他の曲を聴いて見たが、期待とは違ったそれだけ、自分の感受性が老化しているのであろう。*

池澤夏樹が書いているように「老いては若きに席を譲ろう」ということが必要かもしれない、と思った。

*追記 その後上白石萌音に関しては、新海監督がその声の透明感を評価し、映画「君の名は」のヒロインの声に抜擢した人ということを今頃になって知った。齢をとると、情報の受け取りの速度が、数テンポも遅れる。

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